ベルヌーイの定理で、水車、飛行機、流量測定を考えてみた

前回の記事でベルヌーイの定理、すなわち、

(1)   \begin{eqnarray*} g h+\frac{1}{2}v^2+\frac{P}{\rho}=const. \end{eqnarray*}

を導きました。
本記事では、ベルヌーイの定理を使い、3つのテーマについて考察します。

ペルトン水車とフランシス水車の根本的な違いは?

ぺルトン水車

電験3種を受ける場合、ペルトン水車とかフランシス水車って出てきますよね。

ペルトン水車は、一度空中に放出した水を羽根で受けて回るタイプの水車です。衝動水車と言われます。

このふるまいをベルヌーイの定理から考えてみます。ベルヌーイの定理(1)の両辺を重力加速度gで割ると、

(2)   \begin{eqnarray*} h+\frac{v^2}{2 g}+\frac{P}{\rho g}=const. \end{eqnarray*}

となります。ここで、hを位置水頭、v^2/2 gを速度水頭、P/\rho gを圧力水頭といいます。

高いところにあった水の位置が低くなると、位置水頭が小さくなり、その分、速度水頭や圧力水頭が大きくなります。

ここで、水を空中に放出すると、水にかかっている圧力が開放されます。水は圧力が開放されても体積が変わりません。すなわち、圧力による仕事をしません。よって、位置水頭hは全て速度水頭v^2/2 gに変わります。

この速度水頭を羽根に当て、その衝動(つきうごかすの意)で水車を回転させるのがペルトン水車です。一度、「空中に出して圧力を下げてしまってもったいない」のではなく、「圧力水頭の項を0にすることによって、速度水頭を上げて」水車を回しています。

ぺルトン水車は、水が速度vでガツンガツンとバケットに当たり、その速度が0に近づいていく過程でエネルギーをもらって回ります。

フランシス水車

フランシス水車は密閉した水路の中で回ります。反動水車と言われます

やはり、水頭の式(2)で考えてみます。

フランシス水車は水圧が羽根を押すことで水車が回ります。水車が回るだけの流速は必要ですが、それが確保される限りゆっくりと回る方が効率が良さそうです。特に最終的な水の速度は0になることが理想です。そうすれば、位置水頭hを全て圧力水頭P/\rho gとして使うことができます。

フランシス水車は水圧Pがランナにググググッとかかり、その圧力が0に近づいていく過程でエネルギーをもらって回ります。

飛行機ってなぜ空中に浮かぶことができるの?

あなたは「愛と青春の旅立ち」という映画をご存知ですか?主人公のリチャードギアが、士官学校に入ってパイロットを目指す映画です。

僕は、何十年も前に、日本語吹き替え版をテレビで見ました。航空力学か何かの座学のシーンで、教師役の俳優(を担当する声優)が「ベルヌーイの定理を云々」と言っていたような覚えがあります。ともかく、飛行機はベルヌーイの定理で飛んでいるのです。

ざっくりですが、ボーイング747-400ERを例にとって計算してみましょう。
諸元はWikipediaを参照させていただきます。

まず、最大離陸重量は412.8\left[t\right]、翼面積は541\left[m^{2}\right]です。よって、面積当たりの荷重は、

    $$ \frac{412.8\times 10^3}{541}\cong763.0[kg/m^2] $$

です。つまり畳半畳くらいの面積に、大人10人くらいの重さがかかることがあるという勘定です。どこかの物置のようですね。

これに重力加速度9.8[m/s^2]を乗じた値が下向きにかかる力です。すなわち、

    $$ 763.0\times9.8\cong7477[N] $$

ですね。有効数字については、あまりうるさいことを言わないことにします。

翼の下側の圧力をP_1[Pa]、上側の圧力をP_2[Pa]とします。これらの差に面積1[m^2]を掛けると単位面積当たりの揚力[N]になります。これが下向きの力より大きければ飛行機が浮きます。すなわち、

    $$ \left(P_1-P_2\right)×1>7477 $$

です。

ここでベルヌーイの定理を使います。翼の前から来た空気が2つに分かれ、翼の上下をそれぞれ速度v_2v_1で通り、翼の後ろで合流するとします。翼が通り過ぎた前後で、空気は同じ高さh_0を保ったままだとすると、ベルヌーイの定理(1)から、

    $$ h_0+\frac{v_1^2}{2g}+\frac{P_1}{\rho g}=h_0+\frac{v_2^2}{2g}+\frac{P_2}{\rho g} $$

であり、両辺からh_0を消せるので、

(3)   \begin{eqnarray*} \frac{P_1-P_2}{\rho g}=\frac{v_2^2-v_1^2}{2 g}\\ \therefore P_1-P_2=\frac{\rho}{2}\left(v_2^2-v_1^2\right)>7477 \end{eqnarray*}

となります。
ここで、翼の下面を平面として、v_1を考えると、巡航速度が913[km/h]なので、秒速は、

    $$ v_1=913[km/h]=\frac{913[km/h]\times1000[m/km]}{3600[s/h]}=253.6[m/s] $$

です。
次に、空気の密度を考えます。1013[hPa]0\left[^\circ C\right]の場合は、\rho=1.293[kg/m^3]ですが、ボーイング747が飛ぶ高度1万メートルでは、およそ1/3になります。
よって、秒速と空気の密度を(3)に代入すると、

    \begin{eqnarray*} \frac{1.293}{2\cdot3}\left(v_2^2-253.6^2\right)>7477\\ \therefore v_2^2>9.901\times 10^4\\ \therefore v_2>314.7 \end{eqnarray*}

となります。

    $$ \frac{314.7}{253.6}=1.241 $$

なので、下の面より上の面の長さを1.241倍長い翼を作れば浮くことができます。

翼の断面図

翼の断面図

こんな感じでしょうか?

ところで、実際の航空機は、離陸時にフラップを使ったり、翼に迎え角を取ったり、飛行途中で燃料を使って軽くなるため、揚力にもっと余裕があります。翼がこんな極端な形をしていなくても安心して航空機に乗ることにしましょう。

圧力を測ると流量が分かるってどういうこと?

気体や液体を扱う工場はあちらこちらにあります。それらの工場では、安定稼働するために、管を流れる気体や液体の流量を知りたいはずです。どうやって測定しているでしょう?

そうです!ベルヌーイの定理を使って測定しています。

ベンチュリ管

ベンチュリ管

ベルヌーイの定理を使うためには、径の一部の面積を絞ったベンチュリ管を用います。又は、オリフィスというドーナツ型の板を管の中に設置して、ベンチュリ管と同様の効果を得る場合もあります。上図はベンチュリ管の模式図です。

早速ベルヌーイの定理(1)を使って式を立てると

(4)   \begin{eqnarray*} g h_1+\frac{1}{2}v_1^2+\frac{P_1}{\rho}=g h_2+\frac{1}{2}v_2^2+\frac{P_2}{\rho} \end{eqnarray*}

となります。ここで、流体が、水のように圧縮されない性質を持つとすると、左端から流れ込む単位時間の流量V[m^3/s]と右端から流れ出す単位時間の流量が一致していることから、

    \begin{eqnarray*} V&=&S_1v_1=S_2v_2\\ \therefore v_2&=&\frac{S_1}{S_2}v_1 \end{eqnarray*}

です。また、ベンチュリ管を水平に置けば高さの中心値が変わらず、h_1=h_2となるので、両辺から消すことができます。よって、(4)を書き直すと、

    \begin{eqnarray*} g h_1+\frac{1}{2}v_1^2+\frac{P_1}{\rho}&=&g h_2+\frac{1}{2}v_2^2+\frac{P_2}{\rho}\\ \frac{1}{2}v_1^2+\frac{P_1}{\rho}&=&\frac{1}{2}v_2^2+\frac{P_2}{\rho}\\ \frac{v_1^2-v_2^2}{2}&=&\frac{P_2-P_1}{\rho}\\ \frac{v_1^2-\left(\frac{S_1}{S_2}\right)^2v_1^2}{2}&=&\frac{P_2-P_1}{\rho}\\ v_1^2&=&\frac{2}{\rho}\frac{P_2-P_1}{1-\left(\frac{S_1}{S_2}\right)^2}\\ v_1&=&S_2\sqrt{\frac{2}{\rho}\frac{P_2-P_1}{S_2^2-S_1^2}}\\ V=S_1v_1&=&S_1S_2\sqrt{\frac{2}{\rho}\frac{P_2-P_1}{S_2^2-S_1^2}} \end{eqnarray*}

となります。

思ったより複雑な式でしたね。

 

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