今後、数記事にわたって、バイポーラトランジスタの基本的な使い方を書こうと思います。
本記事は、その中で使う「接地」という言葉を説明します。
接地とは
「接地」とは、「電位が変化しないところに接続する」という意味です。
「地」は、もともと地球を意味します。
地球は電気をよく通します。
じゃないと、雷が落ちたとき、大変です。
周りのモノは一瞬にして帯電します。近くにいた人は、ケガを免れたとしても、髪の毛が逆立ち、毛先から放電しまくるかもしれません。ちょっとホラーです。
実際は、地球に流れ込んだ電荷は、幸いなことに、巨大な地球全体に広がるので、電位はほとんど上がりません。商用電源は、この変動しない地球の電位を基準にして、0Vとかアースと呼んだりします。
一般的な電気回路は、地球とつながっていません。誰も携帯電話を引きずって歩きませんよね?
また、電位の決め方は任意なので、どの電極を選んで0Vと呼んでも構いません。
ただ、電池のような電源は、その両端の電圧差がほぼ一定で変わりません。よって、このどちらかを基準として0Vとすれば、もう片方は+1.5Vだったり、-1.5Vだったりして、固定値になります。固定された値は、設計や解析に好都合です。
この、勝手に0Vと見なしたところを回路のグラウンドと言います。このグラウンドに接続することを接地といいます。
でも、今+1.5Vとしたところを0Vと見なしたい人もいるでしょう。その意味では、1.5Vの地点に接続しても接地といって問題ありません。
つまり、一般に、グラウンド、又はグラウンドから一定電位差を示す電源端子のように、電位が変動しない地点に接続することを接地と言います。
ところで、昔は「電位」と「電圧」をほぼ同じ意味で使っていました。ただ、最近は、電位を絶対値、電圧を相対値として使っているようです。
大地アースとシャーシグラウンド
前節で、本物の地球のことを単にアースと呼びました。しかし、もっと厳密に呼びたいときは、大地アースと言います。
大地アースについては、電気工事士とか電気主任技術者といった強電関係の資格を勉強すると理解が深まります。ちなみに、この場合の接地はA種からD種まで4種類あります。
これに対して、回路上のグラウンドは、シャーシグラウンドとかシャーシアースと言います。
それぞれの呼び方に対して、回路記号もあります。
電子回路なら、シャーシグラウンドの図記号を使うべきでしょうが、個人的には等電位の図記号で代用することが多いです。周囲にそういう人が多いことと、手書きの場合は一筆書きで書けるので書きやすいからです。
大地アースも、シャーシグラウンドも理想的には、0インピーダンスです。つまり、どんなに電荷を与えても引き抜いても電位は変わりません。
特に高周波の場合、シャーシグラウンドをこの特性に近づけるために、ベタパターンとすることが一般的です。
トランジスタの入力端子と出力端子の組み合わせ
(バイポーラ)トランジスタは3端子の素子です。
使い方としては1つ目の端子を接地し、2つ目の端子から入力し、3つ目の端子から出力します。順列組み合わせによれば、3!で、6通りの使い方ができるはずですが、普通は3通りの使い方しかしません。
今後の記事において、理由も述べながら説明したいと思います。
まとめ
高校生くらいまでは、地球が電流を流すなんて想像できませんでした。
でも、現実の地球は、思いのほか低インピーダンスのようです。
今後、接地という言葉をごく普通に使って記事を書きます。
コメント