いよいよ目や鼻を描き入れていきます。
目頭と目尻の印を始点と終点として、上まぶたの輪郭を描きます。
このモデルさんは、目頭からの距離と目尻からの距離が3:7くらいのところが一番高くなっているので、そこに注意します。
上瞼の輪郭を描き終わったら、練り消しを使って構造線を消しておきます。眉毛の間も適当に消しておきましょう。
鼻は、鼻の穴を軽く描きます。中心線から左右の穴が等距離になるように注意します。
こちらも描き終わったら、中心線を消しておきましょう。
目を描く上で大切なことは、瞳の下縁の形だと思っています。
人物画を描き始めた頃、絵の中の目がこちらを向いてくれませんでした。当時は、下瞼を含めた目の輪郭を描いてから瞳を入れていました。でも、どうも上手くいかないんです。
これは、僕の仮説ですが、相手が見ている方向を自分が認識するときは、瞳の下縁の形が大きく影響しているのだと考えています。
ちょっと実験してみます。
ここに左右対称な目を用意しました。瞳は正円で、上瞼に接しています。この目はこちらを向いているように見えます。
左右対称な目の下縁の形を斜めにしてみました。すると、こちらを向いているようでありながら、向かって右上の方を見ているようにも見えてきます。実際の絵にすると、モデルがどこを向いているか分からない微妙な絵になってしまいます。
目の輪郭を先に描いて、あとから瞳を入れると、瞳の下縁の形を変えにくいので、初心者の僕は苦労していたんです。
なので、目を描く順序は、上瞼の次は瞳です。特に、瞳の下縁の形が重要です。
若い人は、頬が筋肉や脂肪が豊富でハリがあるので、瞳の下縁の形が上にほんのわずか凸になるように描くと若さが出ます。瞳は表情を分かりやすくするために軽く塗っておきました。
必要に応じて目頭と目尻から瞳に向かって下まぶたの輪郭を描きます。
ここでは小鼻を軽く描きました。小鼻を描くと途端に不細工になったり、老けて見えたりすることがあるので、そのような場合には消しましょう。
ここで、改めて絵を見直してみます。休憩をはさんだり、机の上の絵を壁に立てかけたりすると、新鮮な目で見ることができて、構成や配置のずれが分かることがあります。
この絵は、輪郭が左右対称ではありません。向かって左側が相対的に太っていて、右側が痩せています。輪郭を直せる最後のチャンスなので、ここで直してしまいます。
輪郭を修正しました。このモデルさんは本当に丸顔ですね。
ここから先は、影を付けていきます。





