エジプト式分数
エジプトに古くから伝わる「リンド・パピルス」には、5以上101以下の奇数nに対して、2/nを単位分数の和で表す式が並んでいるそうです。
例えば、
です。
ただし、この表し方は一意ではなく、「零の発見」という新書本には、
という別解が示されています。
Excelによるアシスト
表し方が一意でないとなれば、更に1組くらい見つけてみたいと思いませんか?
僕は、見つけてみたいと思いました。
でも、手計算で通分するのは面倒です。
そこで、面倒なことはExcelに任せることにしました。
早速シートをご覧ください。
B1、B2が問題となる分数の分子と分母です。分子は2で固定です。分母は例として29を入れています。すなわち、これで2/29を示します。
右辺の単位分数の分母をE列の2行目から下に順次入れていきます。そうすると、自動的にA7とB7に分母の最小公倍数が計算されます。
また、A6には、問題としている分数を通分した時の分子が入ります。
さらに、B6には、右辺を通分した時の分子の和が入ります。
すなわち、A6とB6が一致する場合のE列が解になります。
各セルの式は次の図のように決めています。(クリックすると拡大します)
式には名前を使っていて、その名前の定義は次の通りです。
別解の発見にトライしてみましょう
別解を見つけようとして、当初、E列に適当な数を入れてみました。そうすると、最小公倍数がどんどん大きくなってしまい、収拾がつきませんでした。
そこで、「リンド・パピルス」の解をお手本にすることにしました。
まず、E2に24を入れると、最小公倍数が696になります。
さらに、E3、E4に順次58、174を入れてみました。しかし、依然として、最小公倍数が696のまま変わりません。最後に、E5に232を入れても最小公倍数は696のまま変わりませんでした。
これで、コツがわかりました。
24=2×2×2×3ですね?そうです。最初にE2に、約数を沢山持つ数を入れることで、最小公倍数の値を増やさずに、次の分母の値を見付けられるのです。
早速やってみました。E2に16(=2×2×2×2)を使ってみました。そうすると、最小公倍数が464となります。
次にE3に58(=29×2)を入れてみました。最小公倍数は464のまま変わりません!でも、左辺の分子が32、右辺の分子の合計が37となり、右辺の方が大きくなってしまいました。行きすぎで失敗です。
E3には、改めて116(29×2×2)を入れました。最小公倍数は464のままですが、右辺の分子の和が33であり、やはり行きすぎで失敗です。
そこで、E3には、232(29×2×2×2)を入れてみました。このとき右辺の分子の和は31となり、左辺に1だけ及びませんでした。
最終的に、E4に464を入れることで、左辺と右辺の値が一致しました。
すなわち、
という別解が得られました。めでたし、めでたし。
ちなみに、「零の発見」で示された別解も第1項目の分母は15(3×5)であって、約数のある数字でした。
考察
僕は、右辺の第1項目の分母を、約数の多い数に選ぶことを試行錯誤で見つけました。でも、あとでWikipediaを読んでみたら、そこにも書いてありました。
少し、手を動かしてみれば、誰でも思いつくことだと思います。
この記事を書いていて、「2/nのnが素数の時、素数を分子とする単位分数の和で表すことができるか?」という問題を思いつきました。なんだか無理なような気がするな。まぁ、誰かが既に設問して解いていることでしょう。僕にはどうでもいいことなので、記事を終わります。
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