連分数って面白い!ある数とその逆数の少数部が一致する数が見つかる!

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ある数とその逆数の少数部が一致する数について

黄金比率(\left(1+\sqrt{5}\right)/2=1.618034\cdots)とその逆数(2/\left(1+\sqrt{5}\right)=0.618034\cdots)の小数部分が同じであることは有名な話です。

Excelで連分数展開しているうちに、そのような数がたくさん見つかりました。

例えば、

    \begin{eqnarray*} 1+\sqrt{2} &=& 2.414213562\cdots \\ \frac{1}{1+\sqrt{2}} &=& 0.414213562\cdots \end{eqnarray*}

ですし、

    \begin{eqnarray*} \frac{7+\sqrt{53}}{2}=7.140054945\cdots \\ \frac{2}{7+\sqrt{53}}=0.140054945\cdots \end{eqnarray*}

です。

実は、

    $$ \frac{n\pm\sqrt{n^2+4}}{2} $$

の場合はそうなります。ただし、nは整数で、n=1の場合は黄金比率です

これらの数を見つけた経緯

黄金比率を連分数展開すると、

    $$ \frac{1+\sqrt{5}}{2}=\left[1;\overline{1}\right] $$

と、1が続きます。ただし、上線は循環を示すこととします。
このように、同じ数字が続くところがミソですね。

そこで、同様な数字があるか、自然数の平方根の連分数を順に求めてみました。
すると、

    \begin{eqnarray*} \sqrt{2} &=& \left[1;\overline{2}\right] \\ \sqrt{5} &=& \left[2;\overline{4}\right] \\ \sqrt{10} &=& \left[3;\overline{6}\right] \\ \sqrt{17} &=& \left[4;\overline{8}\right] \\ \sqrt{26} &=& \left[5;\overline{10}\right] \\ &\cdots& \end{eqnarray*}

のように、同じ数が続く展開が得られました。

右辺は明らかに規則性があります。
左辺の規則性は、初めは分かりませんでした。しかし、しばらくながめていたら、m2+1(12+1, 22+1, …)ということに気づきました

一般化すると、mを自然数として、

    $$ \sqrt{m^2+1}=\left[m;\overline{2 m}\right] $$

となります。

ここで、左辺にmを加えた数の連分数を考えると、

    $$ m+\sqrt{m^2+1}=\left[2 m;\overline{2 m}\right] $$

となります。

よって、左辺を整数部と少数部に分けると、

    $$ m+\sqrt{m^{2}+1}=2 m+\left(\sqrt{m^{2}+1}-m\right) $$

となり、左辺を1回連分数展開すると、

    $$ m+\sqrt{m^{2}+1}=2 m+\frac{1}{m+\sqrt{m^{2}+1}} $$

となります。右辺同士を比較すると、

    $$ \sqrt{m^{2}+1}-m=\frac{1}{m+\sqrt{m^{2}+1}} $$

となるので、m+\sqrt{m^{2}+1}の少数部は逆数と等しいことになります。

でも、これだけだと不満です。

連分数展開をしたときに、黄金比率を別にすれば、連続する同じ数は偶数ばかりです。
きっと、連分数が奇数の連続になる場合もあるはずです。

そこで、攻め方を変えます。
ある数xについて、奇数の整数部nと小数点以下の数をdとして、

    $$ x=\left[n;\overline{n}\right] $$

となるような連分数があるとします。すると、

    \begin{eqnarray*} x &=& n+d\\ &=& n+\frac{1}{x} \end{eqnarray*}

となるので、左辺と最後の右辺をx倍すると、

    \begin{align*} x^2=n x+1 \\ \therefore x=\frac{n\pm\sqrt{n^{2}+4}}{2} \end{align*}

となります。

ここでは、nとして奇数を考えましたが、偶数でも負の数でも同様に成り立ちます。
結局、連分数を使わなくても解が得られました。

連分数展開の収束の速さ

連分数展開の収束の速さも気になるところです。

日食や月食の周期を調べたときに、

(食年E)/(交点月D) = 12.737660 = [12; 1, 2, 1, 4, 3, 5, 1, …]、
(食年E)/(近点月A) = 12.579411 = [12; 1, 1, 2, 1, 1, 1, 5, …]、
(食年E)/(朔望月S) = 11.737661 = [11; 1, 2, 1, 4, 3, 5, 1,…]

という連分数展開を得ているので、これを用いて収束の速さをグラフにしてみます。

連分数展開の収束速度

連分数展開の収束速度

縦軸は誤差の絶対値を対数表示しました。

これを見ると、一段展開するごとに精度がほぼ一桁ずつ高くなっています。

連分数は1桁ずつ得られることが多いですし、この桁数を有効数字として考えると妥当なところだと思います。

ベンフォードの法則との比較

前節の結果を見ると、連分数展開して得られる結果は、1の割合が多いです。また、6、7、8、9の数字は出てきていません。

数値の最初の桁に1が出る確率が多く、次いで、2、3、…、9の順になるという法則をベンフォードの法則と言います。

ベンフォードの法則によれば、最初の桁の数値をdとしたとき、dの出現する確率は、

    $$ P\left(d\right)=\log\left(d+1\right)-\log\left(d\right) $$

となります。

例を挙げましょう。

自然界では、得てして指数関数が出現することが多いです。例えば、細胞は倍々で分裂します。すなわち、

1、2、4、8、16、32、64、128、256、512、…

のように増えていきます。

この10個の数字において、最初の桁に1が出現する回数は3回、2は2回、3は1回、4は1回、5は1回、6は1回、7は0回、8は1回、9は0回です。つまり、1、2の出現回数は多く、8、9は少ないということが分かります。数をもっと集めればさらに明確になります。

次に、連分数展開の場合を考えてみます。

整数部を除いた後の小数部をx \ \left(0<x<1\right)とし、その逆数を考えたとき、1/10<x\leq1/9なら連分数の最初の桁が9、1/8<x\leq1/7なら8、…、1/2<x<1なら1です。
また、1/100<x\le1/10において、1/100<x\leq1/90なら9、1/80<x\leq1/70なら8、…、1/20<x\leq1/10なら1です。以下、同様に考えると等比級数の和の公式が使えて、1の出る確率は、\left(1-1/2\right)\left(10/9\right)=5/9のように求められます。

ベンフォードの法則との比較

ベンフォードの法則との比較

これをグラフに示すと、連分数の最初の桁に1が出る確率は、ベンフォードの法則の30.1%よりずっと大きく55.6%です。2が出る確率は、ベンフォードの法則の17.6%とほぼ同じ18.5%です。3以降は、当然ベンフォードの法則より小さい確率となります。

数字が出現する確率がこんなに偏っていても、展開を一段するごとに精度がほぼ一桁ずつ高くなることは不思議です。

まとめ

本記事は、「ある数とその逆数の少数部が一致する数」「収束の速さ」「連分数に現れる最初の桁の数」という3つのテーマについて述べました。

最初のテーマは、面白かったけど、誰かが絶対に発見しているんでしょうね。

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