三角関数の積和・和積の公式は、社会人になってもたまに使うことがあります。
学生時代にはテストに向けて、「越します越します明日越す越す」のように語呂合わせをして無理やり覚えました。でも、社会人になってからは時間に追われるわけではないので、記憶をしないで、都度導いています。
積和・和積の公式を導くには、加法定理を正確に知っている必要があります。でも、僕は、これを覚えることが苦手でした。ここでは加法定理の導き方を2通り示しておきますので、使いやすい方をお使いください。
行列を使った三角関数の加法定理の導き方
後述のオイラーの公式を使う方法より、行列を使う方法が僕には簡単に思えます。
まず、原点の周りに
だけ回転させるときの行列式
は、
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です。(これを忘れてしまった場合でも、大丈夫。末尾に導き方を示しました。)
よって、
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よって、
![]()
です。
よって、
(1) ![]()
(2) ![]()
となります。(1)、(2)で
(3) ![]()
(4) ![]()
となります。
オイラーの公式を使った三角関数の加法定理の導き方
オイラーの公式は、
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です。
ところで、
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なので、
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となります。よって、実部だけ考えると(1)と同じ、虚部だけ考えると(2)と同じになります。
三角関数の加法公式から積和の公式を導く
(1)+(3)から、
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よって、
(5) ![]()
となります。同様に、(3)-(1)から
(6) ![]()
(2)+(4)から
(7) ![]()
(2)-(4)から
(8) ![]()
となります。
積和の公式から和積の公式を導く
(9) ![]()
(10) ![]()
とおくと、
から、
(11) ![]()
から、
(12) ![]()
となります。よって(5)の
、
を
、
で置き換えて、
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すなわち、
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です。同様に、(6)、(7)、(8)も
、
で表すことにより、
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![]()
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となります。
おまけ:原点の周りにθだけ回転させるときの行列式の導き方
ベクトル
を原点の周りに
だけ回転させたとすると、
となります。
また、ベクトル
を原点の周りに
だけ回転させたとすると、
となります。
原点の周りに回転させることを示す行列を
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とおいて、先ほどの
及び
の回転を行列式で表すと、
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となります。ここで、
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は、単位行列だから結局、
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です。




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