電卓でルート(√)キーを押し続けると最後は1になる理由

電卓に適当な数を入れ、√キーをひたすら押して1にしたことはありませんか?

理由

どうして1になるのでしょうか?

方程式で書くと、xの平方根がxと同じなので、

    $$\sqrt{x}=x$$

です。複素数を考えなければ、両辺が正でないと成り立たないので、二乗して、

    $$x=x^2$$

よって、

    $$x(x-1)=0$$

つまり、

    $$x=0,\ 1$$

ということですね。

1の他に0もあったんだ。確かに0の√は0ですね。

インターネットで検索してみた

インターネットで検索すると、√は1/2乗なので、

    $$x^{\left({\frac{1}{2}}\right)^\infty}=x^0=1$$

という考えを見かけました。ただし、xは0以外の場合です。

ということは、電卓的には0に対していくら√キーを押しても0なので、00 = 0なんだろうな。
世の中は、00 = 1という考え方も根強そうですけどね。

この議論は深みにはまりそうなので、止めておきます。

グラフで考察してみる

実際に電卓をたたくと、0以外の正の数なら、どんな数でも1に収束していきそうに見えます。
0だけが特別なんです。どうして?

微分を使えば厳密に解けそうですが、ここは学校ではないので、点数をもらう必要はありません。グラフを使って、収束をイメージするくらいで満足することにします。

図1:y = √x と y = x のグラフ

図1に y = √x と y = xのグラフをそれぞれ赤と青で示します。
当たり前ですが、不動点である x = 0 と x = 1 は交点になっています。

図2:1への収束

電卓に値を 0.25 と置いたとして話を始めます。
√0.25 = 0.5 ですから、√を一回押すと0.5になるはずです。
これは、グラフで  x = 0.25 の黒線を下から辿り、赤い線との交点の y 座標が 0.5 となることに相当します。

次に x を 0.5 として解析します。これは、黒線と赤線の交点 (0.25, 0.5) から水平に線を伸ばせば、青線との交点の x 座標が 0.5 になるので、ここから始めればいいことになります。
これを繰り返すと、階段状に1に近づいていくことが解ります。

逆に、1より大きい場合として、初期値を 1.75 とした場合の軌跡も示しておきます。

0の場合は自明ですね。交点なので、動きようがないです。
でも、0より少しでも大きい値になると、赤い線はその上にあるので、結局1に収束します。

これで、不動点が0と1である理由がイメージできました。

複素数ならどうか?

関数電卓なら複素数のルートも計算できるのでしょうか?
その点を調べるつもりは無いので良く分かりませんが、ここでは思考実験をしてみます。

複素数 x を定義してみます。

    $$x=a+b i$$

でも、この直交座標だと√を計算しにくいですね。なので、極座標表示にします。

    $$x=Ae^{i\phi}$$

変換方法は示さなくてもいいですよね?

√を取ります。

    $$\sqrt{x}=\sqrt{Ae^{i\phi}}=A^{1/2}\left(e^{i\phi}\right)^{1/2}=A^{1/2}e^{i\phi/2}$$

これで解りましたね。
A1/2は、上述したように A = 0 ならずっと 0 ですし、A≠0 であれば 1 に収束します。

では、偏角はどうでしょうか?
φ/2ですので、繰り返せば 0 に収束します。つまり、

    $$\lim_{n \rightarrow \infty}e^{\phi\left(\frac{1}{2}\right)^{n}}=e^0=1$$

となります。つまり、振幅条件と偏角条件を掛け合わせて、1×1 = 1 となります。

図3:複素数の√が (1, 0) に収束するイメージ

複素数で、1に収束するときの様子を図3に示しておきます。
結構な速さで収束しますね。

まとめ

電卓の√キーを押し続けると0または1に収束することをグラフで可視化しました。
複素数であっても√キーを押し続ければ、0または1に収束することも示しました。

 

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