畳み込み積分とは、システムにインパルスを入力したときの応答を元に、任意の信号を入力したときの出力を計算する式です。
本記事でそのイメージを捉えていただければと思います。
畳み込み積分とは
時間波形は一般に、インパルス応答や単位ステップ応答(インディシャルレスポンス)を詳しく調べ、それらを重ね合わせて解析します。
今、何らかのシステムにδ(t)というインパルスを与えたとき、g(t)というインパルス応答が得られたとします。
すると、そのシステムに、f(t)という任意の入力を与えた場合、(f*g)(t)という畳み込み積分で出力が得られます。多分、それだけのことです。
離散系で考えてみる
連続系で考えるから分かり難いのだと思います。離散系で考えてみましょう。
今、図2の左に示すように、時刻0のときに1、他の時刻では0という入力を考えます。これが離散系のインパルスδ(t)です。(本来はzで表すべきかもしれませんが、分かり易さを考えてtとしています)
このとき、図2の右に示すように、出力が、時刻0、1、2で、それぞれ3、2、1だったとします。これが、インパルス応答g(t)です。
ここで、説明の都合上、図3に示すように、離散系のパルス状の入力をu(t)、その出力をy(t)と書き直すことにします。今はu(t)がδ(t)、y(t)がg(t)ということになります。
出力が0でない時刻における出力値を式で表すと、
(1)
と考えることができます。
関数gについては、後述の説明に備えて時刻を変形しています。
次に、図4の左に示すように、時刻2で大きさが2の入力に対する応答を考えます。
出力は、図4の右に示すように、時刻2から始まります。また、信号の大きさは2倍になるので、6、4、2になります。
出力値を式で表すと、
(2)
となります。すると、式(1)や(2)は全て、
(3)
という形で示すことができます。
ここで、tは出力yを観測する時刻です。
τは、入力パルスが発生する時刻です。その入力パルスの大きさがuです。
gは、時刻τで発生した入力パルスuが時刻tにおいて出力yに及ぼす度合いを示します。
関数gでは、時刻τが遅ければ遅いほど、つまり大きければ大きいほど、g(t-τ)が右に移動することは明らかです。(例えば、y=a(x-x1)という一次関数のグラフが、y=axを右にx1だけ平行移動させたグラフになるのと同じ理屈です)
入力パルスが発生する時刻がτなのですから、対応する出力もτだけ右に移動させなければなりません。
最後に、図5の左に示すように、f(t)としてt=0で大きさ1のパルス、t=2で大きさ2のパルスが発生した場合を考えてみましょう。すると、出力は、図5の右に示すように、図2と図4の重ね合わせになります。時刻2では、出力が干渉し、1+6=7という出力になります。
この出力y(t)の重ね合わせが畳み込み積分(f*g)(t)に相当します。
式で表せば、少しごまかしている感がありますが、
(4)
ということになります。パルスuiの重ね合わせが任意の入力fになります。
この離散系の式を連続系の式に直せば、
(5)
となり、よく見かける畳み込み積分の式となります。
まとめ
畳み込み積分が何であるか、少しでもイメージしていただけましたでしょうか。
本当は、線形時不変などの条件が必要なはずですが、そんなことを説明するうちに解らなくなってしまうので、省きました。
離散系と連続系の変換は、大学のゼミで時間をかけて検討しても理解できなかったので、ごまかしています。
もし、間違っている箇所がありましたら、ご教示ください。
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