高周波のh21は、普通、エミッタ接地のSパラメータから求めます。
すなわち、
です。
この式は、どの教科書にも書いてあります。このh21から遮断周波数fTを求めて論文に使います。
でも、TEG(Test Element Group)の都合で、コレクタ接地やベース接地のSパラメータしか得られない場合、どうしますか?論文にfTを書くのをやめますか?
僕は、一度、そのような窮地に立ってしまったことがあり、式を導くことにしました。折角なのでシェアします。でも、この記事を必要とする人が、日本で何人いるのだろう・・・
コレクタ接地のSパラメータからh21を求める公式
まず、エミッタ接地におけるHパラメータの定義は、
(1)
です。ここで、vbe、vce、icは、
(2)
と変換することができます。また、これらの式の右辺にある変数とコレクタ接地の入出力電力の間には、特性インピーダンスをZ0として、
(3)
という関係があります。さらに、コレクタ接地のSパラメータは、
(4)
です。
式(2)~式(4)を式(1)に代入して整理すると、
(5)
となります。よって、エミッタ接地のHパラメータは、
(6)
となるので、この2行1列の成分を取り出すと、
(7)
となります。
ベース接地のSパラメータからh21を求める公式
コレクタ接地のSパラメータからh21eを求めるのと同様にして、
(8)
となります。
まとめ
コレクタ接地とベース接地のSパラメータからh21を求める公式を示しました。
途中の式は、煩雑なため、省いてしまいました。
もし、間違いを発見された方がいらっしゃいましたら、お知らせください。
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