高周波を扱うようになると、避けて通れないのが特性インピーダンスです。
「50Ωだよね」と言っておけば、「おっ、高周波を知ってるな」ってことになります。
でも、何ですか?特性インピーダンスって?
特性インピーダンスを計算してみよう!
均一の線路を無限に伸ばすと、入力端から見たときのインピーダンスが一定値の純抵抗に見えるようになります。その抵抗値Zのことが特性インピーダンスです。
まぁ、とにかく、そういうものだとして本当に純抵抗に見えるかどうか確かめてみましょう。
まず、線路に電流が流れると、磁界ができます。よって、何かしらのインダクタンス成分があるはずです。そこで、単位当たりのインダクタンス成分をL[H/m]とします。
次に、線路は導体でできていて、ある間隔を隔てて平行に置かれているので、何かしらのキャパシタンス成分があるはずです。そこで、単位当たりのキャパシタンス成分をC[F/m]とします。
さらに、無限につなげるとある値の純抵抗に見えるというのですから、それを純抵抗Zに置き換えてしまいます。
そうすると、微小の長さΔxに注目したとき、次のような等価回路が書けます。この微小な長さΔxをインダクタンス成分やキャパシタンス成分に乗じてしまうところがミソで、あとで効いてきます。
ここで、電源側からみたインピーダンスを計算し、それもZに等しいと置いてみます。つまり、
です。分母を両辺に乗じると、
となります。両辺からZを引いて、Δxで割ると
となり、
とすると最後の項が0とみなせるので、
となります。よって特性インピーダンスZは、
となります。
ここで問題発生!負の符号でも、成立してしまいます。僕にはこれが不適ということを数式上で説明することができません。
でも、負の値ということは、負性抵抗です。抵抗がエネルギーを消費できることの逆を考えると、負性抵抗はエネルギーを生み出せます。インダクタンスとキャパシタンスで永久機関を作ることはできませんから、結局、負の符号をとれないということになります。これでいいのかな?
(特性インピーダンスの負の符号は、おそらく、左側に伝わる波を表しています。2020/03/08追記)
したがって、符号は正の値のみとなり、結局、
となります。
真空中の特性インピーダンスを求めてみよう!
ここで、真空の特性インピーダンスを求めてみましょう。
これも、僕にはうまく説明できないのですが、単位あたりのインダクタンスと単位あたりのキャパシタンスは、μ0[H/m]とε0[F/m]でいいらしいのです。言うまでもなく、それぞれ真空の透磁率と真空の誘電率です。少なくとも、ディメンションは合っています。実際に計算すると
となります。
まとめ
素子の直列接続、並列接続の知識だけで、特性インピーダンスを導くことができました。でも、残念ながら、伝搬速度までは導びけませんでした。
伝搬速度を導くためには、微分方程式を使わざるを得ないようです。
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