直列接続、並列接続の知識のみを使って特性インピーダンスを計算してみよう!

高周波を扱うようになると、避けて通れないのが特性インピーダンスです。
「50Ωだよね」と言っておけば、「おっ、高周波を知ってるな」ってことになります。
でも、何ですか?特性インピーダンスって?

特性インピーダンスを計算してみよう!

無限線路の特性インピーダンス

無限線路の特性インピーダンス

均一の線路を無限に伸ばすと、入力端から見たときのインピーダンスが一定値の純抵抗に見えるようになります。その抵抗値Zのことが特性インピーダンスです。

まぁ、とにかく、そういうものだとして本当に純抵抗に見えるかどうか確かめてみましょう。

まず、線路に電流が流れると、磁界ができます。よって、何かしらのインダクタンス成分があるはずです。そこで、単位当たりのインダクタンス成分をL[H/m]とします。

次に、線路は導体でできていて、ある間隔を隔てて平行に置かれているので、何かしらのキャパシタンス成分があるはずです。そこで、単位当たりのキャパシタンス成分をC[F/m]とします。

さらに、無限につなげるとある値の純抵抗に見えるというのですから、それを純抵抗Zに置き換えてしまいます。

そうすると、微小の長さΔxに注目したとき、次のような等価回路が書けます。この微小な長さΔxをインダクタンス成分やキャパシタンス成分に乗じてしまうところがミソで、あとで効いてきます。

無限伝送線路の等価回路

無限伝送線路の等価回路

ここで、電源側からみたインピーダンスを計算し、それもZに等しいと置いてみます。つまり、

    $$Z=j\omega L\cdot\Delta x+\frac{1}{j\omega C\cdot\Delta x+\frac{1}{Z}}=j\omega L\cdot\Delta x+\frac{Z}{1+j\omega CZ\cdot\Delta x}$$

です。分母を両辺に乗じると、

    $$Z+j\omega CZ^2\cdot\Delta x=j\omega L\cdot\Delta x-\omega^2 LCZ\cdot\Delta x^2+ Z$$

となります。両辺からZを引いて、Δxで割ると

    $$j\omega CZ^2=j\omega L-\omega^2 LCZ\cdot\Delta x$$

となり、

    $$\Delta x \rightarrow 0$$

とすると最後の項が0とみなせるので、

    $$j\omega CZ^2=j\omega L$$

となります。よって特性インピーダンスZは、

    $$Z=\pm\sqrt{\frac{L}{C}}$$

となります。

ここで問題発生!負の符号でも、成立してしまいます。僕にはこれが不適ということを数式上で説明することができません。

でも、負の値ということは、負性抵抗です。抵抗がエネルギーを消費できることの逆を考えると、負性抵抗はエネルギーを生み出せます。インダクタンスとキャパシタンスで永久機関を作ることはできませんから、結局、負の符号をとれないということになります。これでいいのかな?
(特性インピーダンスの負の符号は、おそらく、左側に伝わる波を表しています。2020/03/08追記)

したがって、符号は正の値のみとなり、結局、

    $$Z=\sqrt{\frac{L}{C}}$$

となります。

真空中の特性インピーダンスを求めてみよう!

ここで、真空の特性インピーダンスを求めてみましょう。
これも、僕にはうまく説明できないのですが、単位あたりのインダクタンスと単位あたりのキャパシタンスは、μ0[H/m]とε0[F/m]でいいらしいのです。言うまでもなく、それぞれ真空の透磁率と真空の誘電率です。少なくとも、ディメンションは合っています。実際に計算すると

    $$Z_{vac}=\sqrt{\frac{\mu _0}{\epsilon _0}}\simeq\sqrt{\frac{{1.26}^{-6}}{{8.85}^{-12}}}\simeq377\left[\Omega\right]$$

となります。

まとめ

素子の直列接続、並列接続の知識だけで、特性インピーダンスを導くことができました。でも、残念ながら、伝搬速度までは導びけませんでした。
伝搬速度を導くためには、微分方程式を使わざるを得ないようです。

コメント

  1. 広島 高齢者0010 より:

    素晴らしい解説をしていただきありがとうございます。小生の様な数学音痴には導出できません。 さて、Z=√(L/C)Ω ということで、手持ちの同軸ケーブルのL,Cを測定して、Zを計算したところ、Zが約2倍になりました。どうしてかわかりません、教えていただければありがたいです。 測定方法はLCRメータを使って0.7mの同軸ケーブルの芯線のLと芯線とシールド間の要領を測定してみました。(@100kHz)
    そうしたところ、5C2Vの方は、L=0.976μH、C=49.63pFとなり、Z=140Ωになりました。5D2Vの方はL=0.939μH,C=72.12pFとなり、Z=114Ωになりました。測定は2回行いました。測定周波数も変えてみましたがほぼ同じ結果でした。 わからんんん。なぜだ。と思い悶々としています。教えてください。まだまだ修行が足りません。

    • みすく より:

      広島 高齢者0010 様
      ご質問をありがとうございました。
      お恥ずかしながら、LCRメータを使ったことがありませんので、測定に関する直接的な回答ができかねることをあらかじめお詫びいたしておきます。
      さて、LとCの2つの値を測定されたとのことですが、このうち、Lが大き目に測定されてしまったのではないかと考えています。
      理由は次の通りです。
      まず、こちらの記事で示しますように、同軸ケーブル内の伝送速度は、近似的に、v=1/√(LC)で表すことができます。
      具体的速度は、やはり同記事にありますように、1 m あたり 5 ns くらいですので、2E8 m/s ということになります。
      ここで、Z/v=√(L/C)・√(LC)=L ですから、L=50/2E8=25E-8=0.25E-6ということで、インダクタンスの理論値は、0.25 μH/m となります。
      0.7mの同軸ケーブルをご測定された値は、この値より数倍大きいようです。
      つまり、なにかしらの寄生インダクタンスを含むようにして測られてしまったのではないでしょうか?
      ちなみに、キャパシタンスは、1/(Zv)=√(LC)/√(L/C)=C ですから、C=1/(50・2E8)=100E-12 ということで、理論値は、100 pF/m となります。
      この値は、測定値とかなり近い値のようです。
      この回答が、何かしらのご参考になれば幸いです。

  2. 広島 高齢者0010 より:

    早速ご丁寧な解説をしていただきありがとうございました。
    ご説明に書かれていたような考えは露も考えていませんでしたので、驚きでした。 ありがとうございます。 また、勉強して教えていただきたく思っています。

    さて、あれから小生も、インダクタンスの方の測定方法を別の方法で試してみました。 測定器はLCRメータです。 最初は同軸ケーブルの芯線の両端にプローブを当てて単に0.7mの芯線のインダクタンスを測定していました。この時3D2Vの方は0.939μHでした。しかし、同軸ケーブルの片方のシールド線と芯線を接続し、(ゼロΩで終端したような回路)で残りの端の芯線とシールド線間のインダクタンスを測定したところ、0.266μHとなりました。この値で特性インピーダンスを計算すると、Z=√(0.266μ/72.1P)=60.7Ωになりました。50Ωにかなり近くなりました20%の誤差ですのでこれでよいのかと思っています。
    この理由はシミュレーションでは同軸ケーブルのシールド側はグランドプレーンになっていますが、同軸ケーブルのシールド網線はグランドプレーンではなく信号のリターン線になっているので、小生が測定したような方法が正しい測定方法かと思っています。 それ以上の理由は分かりません。

    3C2Vの方も同様にして測定したところインダクタンスは0.351μHとなり、Z=√(0.351μ/49.63P)=84Ωとなりました。75オームより少し高い値になりましたが、これも誤差かもしれない(12%)と考えています。
    同軸ケーブルはなんと難しいものかと、思っています。
    いずれにせよ教えて頂いたことを何回も噛みしめ、また、調べてみます。
    まだまだ知らないことだらけで恥ずかしい次第です。 ありがとうございました。

    • みすく より:

      広島 高齢者0010様
      再度のご投稿をありがとうございました。
      後出しじゃんけんではありますが、先ほど、風呂に入りながら、広島 高齢者0010様と同様に、ポート2側をショートする測定方法があるのではないかと考えていました。
      シールドを無視して、芯線だけをLCRメータで測定すると、アンペールの法則によって磁界はシールドの外まで存在します。しかし、実使用時には、広島 高齢者0010様がおっしゃられる通り、シールドにリターン電流が流れますので、シールドの外に磁界はありません。つまり磁界のエネルギーが減りますので、インダクタンスが減るはずです。
      これをLCRメータで測定するには、ポート2側をショートして、ポート1側の芯線とシールド間で測定するのが妥当だという推論でした。
      実際にそれを実験された広島 高齢者0010様の行動力には頭が下がります。結果を教えていただきまして、ありがとうございました。
      なお、3C-2Vや3D-2Vは、比較的細いケーブルですので、もしかしたら、金属の抵抗値が誤差に効いてくるのかもしれません。また、ポート2のショートのところで若干のインダクタンス成分が発生しているのかもしれません。もしかすると、このあたりの影響が小さくなるような同軸ケーブルの長さがあるかもしれません。
      また、不思議な実験結果が得られましたら教えていただければと存じます。今後ともよろしくお願いいたします。

  3. 広島 高齢者0010 より:

    なんだか同軸ケーブルを見る目が変わってきました。年は取れども知識が乏しくてお恥ずかしい次第です。今は、とても興味深いドアを開けた時の驚きを感じています。
    今度は同軸ケーブルでなく、平行2線式の通信用のケーブルを試してみます。
    手元に確かZ=110Ω(だったかな?)が有りますので、L,Cを測定してその結果をまた、報告させていただきます。 たかが電線、されど電線という感じですね。高周波はとても興味があるのですが難しくて入りにくいですがアップしていただいている資料を読んで、勉強します。 ありがとうございました。

    • みすく より:

      平行二線式の測定値も興味深いですね。
      測定されましたら結果をお教え下さい。
      ところで、広島 高齢者0010様は、どうして特性インピーダンスを実測されているのでしょうか?差し支えがないようでしたら、そちらもお教え下さい。
      また、他の記事で分かり難いところがありましたら、直したいと思いますので、ご指摘ください。

  4. 広島 高齢者0010 より:

    早速の返信ありがとうございます。見ず知らずの、よくご存じの方にこうして親切丁寧に教えて頂けることに感謝しています。
     さて、『どうして特性インピーダンスを実測されているのでしょうか?』というご質問に対して、どのように理解してよいか迷いつつ返事を差し上げます。①どのようにして実測しているかというふうに理解した場合。②なぜ、特性インピーダンスを実測しているか、という風に理解した場合。二つが考えられますので、二つともにお応えします。
    まず、①に関して、小生はインピーダンスメータを持っていませんので、測定できません。単にケーブルの型式(例えば3C2Vとか、、)から75Ωと捉えているだけです。 ②なぜ、測定しているか?というと、とても興味があるからです。小生の計算方法はL.Cラダー回路を交流回路の計算(jωを使って計算)しました。そうすると、とても興味深い答えを得ることができました。それを回路シミュレーション(Circuit Viewerというソフト)してみるとなるほど、そうだったのか?という自己満足ができました。
     ここでやめておけばよかったのですが、それならば、同軸ケーブルのインダクタンスと芯線とシールド間の容量を測定して、計算したら果たして50Ωにあるか?どうなるかと、、、興味津々で計算したところ、見事に外れ、途方に暮れているときに貴方の記事を目にし、教えを乞うたわけです。
     アプローチの仕方が全く異なり、今でもうろたえている状態です。電気、電子、制御を長い間、生業としてきましたが、まだまだ分からないとこだらけではなはだお恥ずかしい次第です。
     小生は数学や線形代数学が苦手でして、偏微分も苦手です。自分の持つ知識の範囲で何とか理解したいとがむしゃらに頑張っている状態です。
     今は、少し熱が冷めたのですが、逆伝達関数を使った制御にとても興味があり、シミュレーションではとても良い結果を得ることができました。当たり前ですが、不思議な現象を目にすることができました。これを何とか広めたいと思っていますが、受けてもらえるチャンスが無く、悶々状態です。 これも、また継続してみたいと思っています。 
    最後になりますが、並行2線のZ=120オームの通信線が手元にありますので、L,Cを測定して後で、連絡させていただきます。とても興味深いです。 では、また、ありがとうございました。

    • みすく より:

      ご回答をありがとうございました。
      学生時代に「技術文書を書くときは一意的になるように書け」との指導を受けました。でも、今回、二つの意味にとれる文を書いてしまいました。申し訳ありません。私は、②の意味で質問をしたつもりでした。
      ただ、①についてのご回答も興味深く拝読しました。
      私の職場には、インピーダンスメータやLCRメータはありませんでした。その代わり、TDR(Time Domain Reflectometry)という方法を用いて、特性インピーダンスを測定しました。矩形パルスを伝送線路に入力すると、特性インピーダンスに変化がある地点で反射が生じます。それをサンプリングオシロスコープで測定すると、反射波の形で特性インピーダンスが分るという原理です。測定器にはスマートなソフトが付属していて、カーソルを合わせると特性インピーダンスが直読できるようになっていたと記憶しています。ですので、原理が分らなくても使えました。
      ②につきまして、私は伝送線路の特性インピーダンスをシミュレーションしたことがありません。でも、感覚的には困難だと思います。理由は、Z=√(L/C)を求める際に、Δx→0を仮定しているためです。伝送線路をmm単位やμm単位に分割し、インダクタンスをpH(ピコヘンリ)オーダ、キャパシタンスをfF(フェムトファラッド)オーダ等にして、100段も繋げれば、もしかしたらそれなりの結果が得られるかもしれません。夢のないお話になってしまったとしたら、申し訳ありません。
      逆伝達関数という言葉は初めて伺いました。面白そうですね。どこかのブログにでも投稿されているようでしたらURLをお教えください。
      平行2線の測定結果、お待ちしております。

      • 広島 高齢者0010 より:

        書き忘れたことがありました。
        どこのブログにも投稿していません。 逆伝達関数は特に目新しい内容ではありません。ネットで調べたところ、3つの記事に出逢いました。20年くらい前の三菱のNC工作機にこの考え方が採用されていました。キーワードとして、『逆伝達関数』と入力したと思います。 たしか、論文だったような記憶があります。 とても興味深いものでした。しかし、性能は素晴らしいのですが、世の中であまり採用されていないようです。 なんとかこの考え方を広めたいのですが、浅学ですので、実現していません。この考え方を使うと、制御系の応答波形から瞬時に最終値を求めることができます。
        高等数学を使う必要はありません。ただ、微分、積分、四則演算ができればだいじょうぶなのですが、、、、。どのようにして説明したら良いか。
        ご興味があれば小口にして、回数を多くして説明することができると思います。 以上です。

        • みすく より:

          共振周波数の1/3の周波数なら少ない誤差でシミュレーションできるとの由、貴重なノウハウですね。
          逆伝達関数は、高等数学を使わなくて制御ができるのですね。
          あまり普及しないということであれば、安定性に難があるか、制御偏差が残るかのどちらかなのでしょうか?

  5. 広島 高齢者0010 より:

     お陰様で、学ぶことが多いです。そのようなインピーダンスを測定するようなものが有ることも知りませんでした。わかったつもりでずっと過ごしてきたいい加減な自分を恥ずかしく思います。前回、平行に線式のケーブルのインピーダンスを120Ωと書きましたが、75オームの間違いでした。毎日多忙にしておりまだ測定していません。すみません。

     それから、同軸ケーブルのシミュレーションに関してですが、小生は単位長さを100mm程度にしてXL=Xc=R=50Ωの一段回路でシミュレーションしています。(L=159.2nH、C=63.7pF、Z=50Ω、共振周波数=50MHz)回路の説明をします。信号源からLへ入り、CとRの並列回路の一段でシミュレーションしています。以前はL,C回路を100段くらい繋いでやってみたことも有ります。 要は、扱う周波数の上限が分かっていればその周波数の3倍程度の共振周波数になるようにL,Cを決めてやると、かなり良いシミュレーション結果が得られました。(言葉だけではイメージがわかないと思いつつ書いています。回路図は簡単なのですが、言葉で表現が難しいです。)
    100段くらいにすると、確実に信号が遅れたり、負荷が特性インピーダンスと一致しない時は反射が起こったりして、とても面白かったです。
    そこで、止めておけば今の様な悩みは無かったのですが、これを交流回路として解き、ベクトル図を書いて理解しようとしたとき、どうしても矛盾が出てきてどうしようもなくなってきました。具体的に言葉で説明することができませんが。
    当惑したわけです。 それならということでもう一回、交流回路網の計算をしていったところ、やっと、理解できる形の式が出来上がりました。
    結論から申し上げますと、ΔL、ΔCを有限の値にしても、扱う周波数が、
    L,C共振周波数の3分の1程度であれば同軸ケーブルとして働くということです。それ以上高い周波数の信号を与えると誤差が大きくなります。
    ボード線図で書くと、それが明確になり、ほっとしたところです。
     ここでやめておけばよかったのですが、それでは、同軸ケーブルの現物のL,Cを測定してみようということで700mmくらいの同軸ケーブルでそれらを測定し、Z=√(L/C)を計算したところ全く外れてしまいました。ここから悩みが始まり、みすくさんのページにたどり着き教えを乞うたわけです。 ちょっと長い内容になりましたので、このあたりでいったんお開きにします。できれば明日、平行に線式のフィーダのL,Cを測定して連絡したいと考えています。 明日は午後から仕事ですので、頑張って、午前中に何とかしたいです。いつもありがとうございます。

  6. 広島 高齢者0010 より:

    おはようございます。 取り急ぎ、69cmの2線式の給電線(Z=75Ω)をいろいろな方法で⊿Lと⊿Cを測定しました。
    その結果からある条件下では73.9Ωという結果が出ました。
    今夜、また、もう少し詳しく報告します。
    それから逆伝達関数の件ですが、シミュレーション上ではフィードバックをしなくても、モデルと実際のものが完全に一致して居ればフィードバックをしなくてもかなり正確に設定値通りの結果が出力として得られます。
    しかし、逆伝達関数と、実際のものに誤差があると、それは誤差内なります。
    しかし、フィードバックを追加すると、かなり良い結果が得られます。
    とても興味深いのですが、、、、なぜ、皆さんはこれに気が付かないのかがわかりません。非線形系をやっていませんので、非線形系の場合、使いにくいのかもしれません。それでは午後の仕事に行ってきます。 今夜、また報告します。

  7. 広島 高齢者0010 より:

    やっと時間が取れました。シールド付きの2線式伝送線路、Z=75Ωの測定をしました。サンプルは69cm長さです。 LCRメータの測定周波数は100kHzです。
    まず、芯線一本のΔL1=0.75μH、
    2本の芯線の一端を短絡して往復のΔL2=0.23μH。
    芯線間の容量ΔC1=42.1PF
    両方の芯線のを短絡してシールド間の容量ΔC2=118pF
    これらの測定結果から Z=√(ΔL/ΔC)を計算してみました。
    まず、ΔL1とΔC1を使うと Z=√(0.75μ/42.1p)=133Ω
    次に、ΔL2とΔC1を使うと Z=√(0.23μ/42.1p)=73.9Ω
    となりました。ほかの測定値を使った計算もしましたが、
    75Ωに近い値は得られませんでしたので、省きます。
    以上です。 同軸ケーブルと2線式とでは見た目の感じが異なりますので、
    往復線の直列インダクタンスを計算に使うのがどうもと思いますが、結果と
    して、ほぼ、75Ωになりましたので、同じ考えで良いのではなかろうかと
    思っています。 平行2線式の方はすっきりしましたが、同軸ケーブルの方はなんだか、腑に落ちません。まあ、この辺で良しとして安心して眠りにつきます。測定データが遅くなりすみません。
    このに線式の給電線の仕様書を持っていますので、ご興味があれば連絡してください。ある程度のデータは開示できますので。 お付き合いいただきありがとうございました。 勉強になりました。

  8. 広島 高齢者0010 より:

    逆伝達関数を機械加工(NC工作機)に利用した論文が有ります。
    それのタイトルは以下の通りです。 ご興味が有りましたらご覧ください。

    修正逆伝達 関数 制御 に よる工作機械 の送 りの
    高速化 に関す る研 究*

    • みすく より:

      2線式伝送線路の実験結果のご提示、ありがとうございました。
      75Ωにかなり近い実測値が得られましたね。
      2線式伝送線路では、2つの線は同等であって、信号線とグランドのような非対称性がありません。つまり、どちらの線も等しくインダクタンス成分を持つので、測定された方法が正解だと思います。

      シミュレータにおける同軸線路のグランドは、理想的で、インダクタンス成分を持ちません。しかし、現実世界のグランドはインダクタンス成分を持ちます。つまり、シミュレーションでは、グランドのインダクタンス分を信号線のインダクタンスに含めて計算しているのだと私は理解しています。よって、同軸線路についても、ポート2側をショートしてインダクタンスを測定する方法が正解だと考えています。

      ところで、以前、長さを変えて測定すると、最適な長さが見つかるようなことを書きました。これを若干訂正させていただきます。長さを変えたときのインダクタンスを縦軸に、横軸を長さにとってプロットしますと、μH/mのディメンションの傾きが得られます。同様に、キャパシタンスをプロットしますと、pF/mのディメンションの傾きが得られます。これらの比を取りますと、ポート2でのショート部の寄生インダクタンス分や測定時の寄生容量が無視されますので、より正確な特性インピーダンス値が得られると思います。

      「修正逆伝達関数制御による工作機械の送りの高速化に関する研究」についての情報もありがとうございました。斜めに読んでみましたが、広島 高齢者0010様のおっしゃられる、「制御系の応答波形から瞬時に最終値を求める(≒逆伝達関数が求まる?)」ことは、残念ながら読み取ることができませんでした。

      最近、ブログの更新をサボっていますが、広島 高齢者0010様の熱意に触れ、そろそろ更新しなくてはと思っています。
      数日間、沢山のコメントをいただきまして、どうもありがとうございました。

  9. 広島 高齢者0010 より:

    小生の実験と計算結果に対して考察していただきありがとうございました。
    同軸ケーブルとか、2線式の伝送線路とか、普通は何も考えないで、ふーん、50Ωか、何で?、、、、、とか思っていましたが、計算したりシミュレーションしたり、実物を測定したりすると、とても興味深いものでした。こんなに簡単な構造の物でも研究すると(既に研究し尽くされていると思いますが、小生が無知だっただけです。)とても面白かったです。齢を取り、時間に余裕が出た時に昔出来なかったことができることはとてもありがたいですね。やはり、余裕があるということはありがたいです。

     さて、逆伝達関数の件、言葉ではなかなか説明できないのですが、簡単に説明すると、ある系(被制御系)の伝達関数(G1とします)が非常に正確に書き表せたとすると、1/G1というG1の逆伝達関数を計算で求めることができます。
    そうすると、有る入力(Xt)をG1へ入力した時のその出力は時間経過とともに変化しますが、その出力を1/G1へ入力すると、その出力は当然Xtと同じになります。 この性質を利用して、制御システムを作りますと。

    入力(Xt)—>(1/G1)—->(G1)—>出力(Yt)はYt=Xtとなります。
     つまり、厳密にG1が数学モデルで記載できれば入力に対して瞬時に入力と同じ出力が得られるということです。 わかりにくかったと思いますが、つまり、(Xt)×(1/G1)×(G1)=(Xt)となるということです。ただし、G1の中に積分要素があった場合、逆伝達関数は微分要素になりますので、Xtがステップ状又はXtに急峻な変化があった場合、逆伝達関数の出力が∞とか、とても大きい値になりますので、そこはXtに前処理をして、(1/G1)の演算結果が飽和しないようにしなければなりません。

     それでは使い物にならないと思われるかもしれませんが、G1が厳密に数学モデルで表現できなくても、例えば現物が3次遅れ系だったとしても逆伝達関数を2次系くらいで表現して、数学モデルに誤差を含ませてもかなり良い結果が得られます。 そうしておいて一番外のループでフィードバックをしてやれば、かなり良い出力(結果)を得ることができます。

     ということで実際の系を厳密に数学モデルにしなくても少しの誤差を容認すると、そこそこの制御ができます。 そして前述したように一番外側のループでフィードバックをかけると出力は入力と一致します。
    とても興味深く、これに、かなりはまっていろいろとやっていました。今は伝承する人が居ないので、お蔵に入れています。
     あまりにも学術的でなくレベルが低いことなので、論文も少ないのかもしれません。
    シミュレーション図などを添付することができればお蔵から引っ張り出してお見せできるのですが、やり方が分かりませんので、残念です。
    それではまた。。。。。ありがとうございました。

    • みすく より:

      逆伝達関数の説明をどうもありがとうございました。
      やはり、線形時不変な伝達関数が、ある程度正確に推定できることが前提なのですね。
      実際は、それを推定することが難しいので、未だにPID制御がまかり通っているのでしょうか。また、伝達関数の推定と制御系の構築という逆伝達関数法のやり方は、AIの研究に引き継がれているようにも思えます。
      いずれにせよ、広島 高齢者0010様から、良い意味での刺激を沢山頂戴しました。
      今後ともよろしくお願いいたします。

  10. 広島 高齢者0010 より:

    同軸ケーブルの特性インピーダンスの件で、新しい発見が有りましたので、ご報告します。 当たり前と言っては、当たり前の事ですが、同軸ケーブルをLCのラダー回路に置き換えた時、LとCのはしごの様な回路になりますが、信号が進む側の導体(つまり、芯線になる方)と信号が返ってくる導体の方(つまり、シールドになる方)のインダクタンスは測定した結果、同じではありませんでした。
    導体サイズが異なりますので、当たり前と言えば全くの当たり前の事でしたが、測定して、やっとそれを知ることができました。なんと、鈍感な私でしょう?
    それが分かった時点で、この同軸ケーブルの設計はかなり複雑なものだということを改めて思いました。芯線と、シールドの距離、および芯線のインダクタンス、シールドのインダクタンス、および、芯線とシールド間に介在する誘電絶縁物の誘電率などを全て考えて設計しないと任意の特性インピーダンスの同軸ケーブルは完成しないということですね。
    それを友人に話したところ、以前、ギガヘルツ帯に使う同軸ケーブルは1mくらいで3万円したそうです。そして、一本づつ成績表が付属されていたそうです。さもありなんと思いました。
    この同軸ケーブルや平行2線式の給電線の特性インピーダンスを測定したり計算したり、みすく様の助言を頂いたおかげ様で学生時代からずっと疑問に思っていたことが50年ぶりで、かなりクリアになりました。ありがとうございます。 まだまだ、勉強してお墓へ入るときの土産にしようと考えています。
    いつもありがとうございます。

    • みすく より:

      同軸ケーブルの特性インピーダンスを計算する公式は、導き方を含めて、既に教科書に載っていると思います。でも、それを鵜呑みにして、設計してしまうと、ミスプリがあってトラブルになった時に、解決することができません。広島 高齢者0010さんのように、実験するとか、公式を導き直すことが、トラブルを解決する力を養ったり、次の発見、発明を生む原動力になったりすると思っています。ご報告をありがとうございました。
      高速・高周波の業務から離れて随分経ちますが、確かに、昔の高価な同軸ケーブルにはS21(等価特性)の測定結果が付いていたような覚えがあります。ケーブルの素材も高価でしたが、K(2.92mm)とか、2.4mmのコネクタが高価でしたね。配属されると、SMAを3.5mmやKに接続してはいけないことをまず初めに習いました。懐かしいです。

  11. 広島 高齢者0010 より:

    同軸ケーブルの特性インピーダンスを形状と絶縁物の誘電率から導出できる式が有るということを聞いたことが有りますが、小生の能力では式を見ただけではなんでこうなるのかおそらく理解できないと思います。自分の知識や身の回りの測定器で測定してできるだけ自分に近いものにしたいと常々思っています。
    そうしないと、単に借り物で仕事をしているみたいで不安です。まあ、古い考えですので、今の流れではないですね。お忙しい中をご返事を頂きありがとうございました。
    みすくさんの最後の3行の意味が全く分かりませんでした。SMAとか、Kとか、、、、まだまだ知らないことだらけです。
    また、勉強できる課題ができました。ありがとうございました。

    • みすく より:

      お使いのコネクタは、BNC又はそれ以外なのでしょうか?
      自作PCを作った時に、マザーボードにつなぐ無線LANのアンテナのコネクタがSMAだったので、一般家庭にも普及しているコネクタだと思ってしまいました。
      すみません。その他のコネクタは、特殊だと思います。当該業務から離れてから、何年も見かけたことがありません。

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