バイポーラトランジスタには、3通りの接地方式があります。
すなわち、エミッタ接地、コレクタ接地、ベース接地です。
本記事では、これらの接地間のSパラメータの変換公式を導きます。
コレクタ接地のSパラメータをエミッタ接地のSパラメータに変換する公式
エミッタ接地のSパラメータの定義は、
(1)
です。ここで、a1e、a2e、b1e、b2eを電圧と電流で表現すると、特性インピーダンスをZ0として、
(2)
となります。
この式中のvbe、vce、icは、
(3)
という関係があります。
さらに、コレクタ接地のSパラメータの定義は、
(4)
ですが、a1c、a2c、b1c、b2cでvbc、vec、ib、ieを表現すると、
(5)
となります。よって、式(5)を式(3)に代入し、さらに式(2)に代入することで、式(2)は、a1c、a2c、b1c、b2cで表すことができます。さらに、b1c、b2cは、式(4)により、a1c、a2c及びコレクタ接地のSパラメータで表すことができます。このようにして変換された式(2)を式(1)に代入してまとめると、
(6)
となります。したがって、エミッタ接地のSパラメータは、コレクタ接地のSパラメータを使って、
(7)
となります。成分ごとに表すと、
となります。
エミッタ接地のSパラメータをコレクタ接地のSパラメータにする、いわゆる逆変換は、添え字のcとeを交換するだけで同じ公式が使用できます。
ベース接地のSパラメータをエミッタ接地のSパラメータに変換する公式
前節と同様の手順により、次のようになります。
エミッタ接地のSパラメータをベース接地のSパラメータにする逆変換は、添え字のbとeを交換するだけで同じ公式が使用できます。
まとめ
接地間のSパラメータの変換公式を導きました。
ベース接地とコレクタ接地間の変換公式は、必要性をあまり感じていないので、示しませんでした。どうしても必要な方は、エミッタ接地への変換を間に挟んで下さい。
途中の変換式は煩雑になるため、示しませんでした。自力で導き直して、間違いに気付かれた方がいらっしゃいましたら、お知らせください。
コメント