労働安全コンサルタントに合格する方法

労働安全コンサルタントをご存知でしょうか?

労働安全コンサルタントは、労働者の安全の水準の向上を図るため、事業場の安全についての診断及びこれに基づく指導を行うことを業とする国家資格です。

自分がこの資格試験を受験したとき、試験に関する情報が少なかったため不安を感じていました。これから受験される方々にとって、少しでも受験情報の足しにしていただければと思い、覚えている事柄をここにメモします。

現時点で僕が理想と考える勉強法の要約

まず、受験準備講習会に参加します。

次に、「労働安全コンサルタント受験応援ホームページ」のサイトを尋ねて口述試験の質問をひたすら集め、質問の傾向を把握します。

さらに、筆記試験の過去問5~6年分を全て解けるようにして試験に臨み、筆記試験に合格します。最後に、口述試験の質問に関する答えを作成・暗記し、口述試験に合格します。

受験するまでの経緯

僕は、製造業の会社に勤務しています。おそらく弊社社員の99%は、労働安全コンサルタントの資格を知らないことでしょう。

僕が、この資格を知ったのは、技術士試験に合格したときに、社外の先輩技術士から、「今度は労働安全コンサルタントを取る番だな」と言われたからでした。

家に帰って調べてみると、技術士と親和性が良く、業務の幅が広がりそうな資格でした。早速過去問を取り寄せてみました。しかし、問題を解いてみると、用語が全くといっていいほど分からないので嫌になり、問題集を本棚の奥の方に仕舞いこんでしまいました。

ただ、試験のことはずっと気になっていました。

たまたま、受験準備講習会の日程に休みが取れたので、講習会を受講することにしました。申し込みをする時点では、「資格が取れずに、高い授業料になってしまうかもしれないけど仕方がない」と腹をくくりました。

受験準備講習会を受けたことで、試験の全容がおぼろげながら分かりました。しかし、普段の業務とかけ離れていることまで学ばねばならないことが明確になり、かえって受験への敷居が上がってしまいました。受験料が高いこともあり、受験する決心をつけることもなかなかできませんでした。

ただ、受験準備講習会を受けた手前、少しずつ問題を解くようになりました。「門前の小僧習わぬ経を読む」です。解いているうちに、だんだんと分かるようになってきました。そして、受験準備講習会から3年して、筆記試験に合格できる目処が立ったので、受験することにしました。

受験準備講習会を受けよう

労働安全コンサルタントの受験対策において、一番の肝は、受験準備講習会を受講することだと思います。

別に僕は、日本労働安全衛生コンサルタント会の回し者ではありません。理由があります。

それは、以下に示す受験用の資料が一括で入手できることです。これは、どんな参考書を使えばいいか分からない僕にとって、非常にありがたいことでした。

  1. 日本労働安全衛生コンサルタント会:受験準備講習会資料
  2. 狩野幸司:産業安全関係法令試験問題の出題と解説
  3. 日本労働安全衛生コンサルタント会:試験合格への手引き
  4. 日本労働安全衛生コンサルタント会:労働安全・労働衛生コンサルタント試験問題集
  5. 中央労働災害防止協会:安全の指標
  6. 中央労働災害防止協会:安全衛生法令要覧
  7. 大関親:新しい時代の安全管理のすべて

1~3は受講資料として配布されました。4~7は販売されていて、事前に予約し、当日入手することができました。

「受験準備講習会資料」は、タイムスケジュール、コンサルタント制度の概要、受験体験発表資料が記載されていました。この受験体験発表の中で、「問題集をばらして使った」という方法が紹介されていたので、僕も実践しました。電話帳のような問題集を分解して、コクヨのレールクリヤーホルダー(フ-761W)で綴じたところ、ノート程度の軽さになり、移動中の車内や出先でも勉強することができました。

「産業安全関係法令試験問題の出題傾向と解説」の前半は、法令用語等の基礎知識が解説されていて、僕には初めて知ることばかりでした。後半は、問題毎に必要な法令が解説文中に引用されていて、手間暇かけることなく勉強できるようになっていました。この本一冊が全て解けるようになれば、産業安全関係法令は合格点が取れるようになります。受講時に、執筆者自身が分かりやすく講義してくれたことも幸運でした。

「試験合格への手引き」は受講資料として配布されたと記憶していますが、定価がついていますので、購入したのかもしれません。労働安全・労働衛生コンサルタント制度の法制化の背景や求められている人物像が書いてあったり、先達の合格体験記が載っていたりして、参考になりました。資料のまとめ方の例をそのまま学習に使わせていただいて、時間を節約することともできました。

「試験問題集(過去問)」は言うまでもなく、筆記試験の必需品です。

「安全の指標」は、最近の動向が載っているので、口述試験の必需品です。僕は受験準備講習会から3年してから受験したので、最新版を買い直しました。

「安全衛生法令要覧」は、法令の調べ方を知っていれば必ずしも必要はありません。でも、最初からインターネットを駆使して法令を調べるようなことはできません。試験の問題を理解するには、法令に当たることが不可欠なので、一冊は持っておいて損はないと思います。要覧には、必要不可欠な法令が掲載されているだけでなく、「参」という見出しで関連法令の参照先も記載されているので、その点でも学習に便利です。毎年改訂されるようですが、そこまでお付き合いする必要はありません。

「新しい時代の安全管理のすべて」は、無くても合格できます。でも、労働安全コンサルタントを開業したときには語句の意味を調べたり、講演等のネタを仕入れたりするのに役立つことと思います。

以上のことから、販売されている書籍を全冊購入しても損することはありません。

受験準備講習会の受講料は32,000円です。これに対して、試験手数料は24,700円です。もし、受験準備講習会を受講することで、1回早く合格できるのであれば、ほぼ元が取れることになります。

筆記試験まで

筆記試験では、「電気安全」の科目の免除を受けられたので、「産業安全一般」と「産業安全関係法令」の2科目について勉強しました。

これらの科目は、過去問を理解し、正答できるようになれば、合格できます。

僕は、6年分の過去問を繰り返し解き、3回連続で正解できるようになったところで受験しました。

「新しい時代の安全管理のすべて」については、一度通読しました。しかし、内容をほとんど覚えていません。試験への最短合格を目指すのであれば、必ずしも通読の必要はないと思います。過去問を解く上で、わからない単語があって、この本の索引に載っていたら引くというくらいの使い方でいいと思います。

「新しい時代の安全管理のすべて」でも分からない言葉は、一つ一つググって調べました。覚えられなくてメモすることはありましたが、あるテーマについての全体像を紙にまとめるようなことはしませんでした。

労働安全コンサルタントの筆記試験では、ひっかけるような問題は出ないようです。例えば、数字の以下と未満の違いなどを細かく問うような問題の記憶はありません。この点、精神的には少し楽でした。

筆記試験から口述試験まで

口述試験の準備開始時期と社内の安全管理状況のチェック

筆記試験の直後から口述試験の対策を始めました。と、言うより、受験を申し込む前から口述試験の質問を調べていました。

早い時点から口述試験を気にしていた理由は、就職活動において、第一志望に面接で落とされたからです。同じ轍は踏みたくありません。

最も懸念したことは、安全管理にかかわる経歴です。安全衛生委員会の委員を7年ほど務めたことがありましたが、その後、安全を主たる業務としていない状態が10年も続いていました。そこで、自分の業務で安全に関することを洗い出し、安全管理にかかわり続けているように聞こえる応答を準備しました。

同時に、社内の安全管理状況をチェックしました。

法令通りの組織や役職が存在しているか、安全衛生委員会の議事録は誰でも見ることができるか、就業制限が守られているか、等です。結果は「自社の安全衛生システムは法令通り運用されていた」でした。口述試験できわどい質問をされても正直に堂々と答えることができるので、ありがたかったです。

口述試験の想定問題の数と模擬面接

口述試験の想定問題については、「労働安全コンサルタント受験応援ホームページ」の問題全てを次の15のカテゴリに分け、似た質問をまとめることで317問に絞りました。

  1.   自分の経歴等(17問)
  2.   災害防止活動経験(15問)
  3.   労働安全コンサルタントについて(30問)
  4.   中小企業(17問)
  5.   法令等(6問)
  6.   OSHMS(13問)
  7.   安全管理体制(28問)
  8.   産業安全一般(74問)
  9.   機械安全について(17問)
  10. 電気安全について(26問)
  11. 化学安全について(11問)
  12. 土木安全について(26問)
  13. 建築安全について(20問)
  14. 将来展望(3問)
  15. 番外編(14問)

他に、「安全の指標」を用いて、最新の度数率、強度率、年千人率、トピックス概要を暗記しました。

これらの質問に対し、求められていることを端的に答えるような回答を作り、部屋の中を歩き回りながら、何度も口に出して練習しました。

口述試験日の1週間前、家族に試験官になってもらい、模擬試験をしました。

家族との模擬試験は照れくさいので、本番の試験よりやりにくいものです。この模擬試験で、普通に答えることができれば、本番でもあがることがありません。

問題は、下記に示す20問を決めておいて、15分間のうちに、それらの中から出せるだけ出してもらいました。この20問は、頻出で、答えにくいことを基準にして選びました。

  • 受験番号、氏名、試験区分を言って下さい
  • 労働安全コンサルタントを受験した動機を教えてください。
  • 安全管理にかかわる経歴と年数を教えてください。
  • あなたの関連職場で、これまでに経験した災害事例を挙げてください
  • その災害について、再発防止策は何ですか?
  • 労働安全コンサルタントの社会的使命は何だと思いますか?
  • 具体的なコンサルタント活動を説明して下さい
  • 中小企業にお金がなくて安全対策があまりできないと言われた場合にどのように対応しますか?
  • 安全衛生法改正の動向を挙げてください
  • 安全配慮義務違反とはどういうことですか?
  • 労働安全マネジメントシステムについて手順を説明して下さい
  • 特定元方事業者の講ずべき措置とは何ですか?
  • 最近印象に残った労働災害は何ですか?
  • その労働災害のどこに注目しましたか?
  • リスクアセスメントの効果を3点述べてください
  • GHSについて説明して下さい
  • 労働災害防止計画の期間と目指す社会は何ですか?
  • 昨年7月の全国安全週間のスローガンは何ですか?
  • 溶接機を使う作業における事故対策はどうしますか?
  • 建設業の三大災害とは何ですか?

口述試験について

口述試験の当日の様子は、こちらの記事に記しました。

合格発表について

合否は、インターネットで確認できます。でも、急ぐことはありませんし、ゲンを担ぎたかったので、郵送されるまで待ちました。

また、合格者の受験番号は官報に載るので、そちらでも確認することができます。

僕が受験した平成29年度のデータとしては、筆記試験受験者数1,265名、筆記試験合格者数301名、口述試験合格者数239名、最終合格率18.9%とのことでした。

おわりに

安全の経験がないと、その時点で口述試験が不合格になるかもしれません。先ずは会社の安全委員会のメンバーになるなどして、口述試験に耐えられる経歴を積んでください。

日々の業務に関連性のない問題や質問は、イメージがなかなかつかめません。でも、時間をかけて調べれば分かってきます。僕の場合、受験するまでにかなり時間がかかりましたが、試験は逃げないので、急ぎませんでした。

受験準備講習会のノートを受験後に見直してみると、「ああ、こんな大切なことも言っていたんだな」という感じです。大枚をはたきましたが、受けて良かったと思っています。同機関では、労働安全コンサルタント登録時研修会も実施しています。定年後に本格始動したいので、その直前にそれを受講したいと思っています。

末筆ながら、皆様の合格を心からお祈りいたしております。

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