負性抵抗法による発振器の設計
分布定数回路を用いる超高周波帯では、負性抵抗法を使って発振器を設計しているようです。
「ようです」と書いたのは、僕はその方法を使って設計したことが無いからです。
どうしても納得できません。
先ずは、以下に考え方を示します。

基本となるのはLC回路です。

初期状態で、系に電気的なエネルギがあれば、コンデンサとコイルの間でエネルギのやり取りが生じ、電気的な振動が継続します。

しかし、現実的な回路では、どこかに抵抗成分があります。また、本当に発振器を設計するのであれば、50Ωなどの抵抗を駆動する必要があります。

これらの抵抗成分のため、振動はどうしても減衰します。

そこで、能動回路を使って、負性抵抗を作り出すことができたとします。

そうすれば、どこかで発生した雑音が増幅され、発振が始まります。
これが負性抵抗による発振器の設計原理です。
大きい負性抵抗と小さい負性抵抗のどちらが良いか?

この発振器の回路図において、負性抵抗の値が-50Ωなら、一度生じた発振は、ずっと継続します。しかし、丁度-50Ωに合わせることは不可能です。普通は、発振が確実な方にマージンを持って、-50Ωより(絶対値が)大きい値又は小さい値に狙って設計します。一体どちらが良いのでしょうか?
そこで、-60Ωと-40Ωの場合を考えてみます。
-60Ωの場合
この回路図では、抵抗が並列に接続されるので、合成抵抗は次の値となります。
\(\frac{50\cdot\left(-60\right)}{50+\left(-60\right)}=\frac{-3000}{-10}=300\)
本当か嘘か、300Ωの正の抵抗値になるので、発振しないことになります。
-40Ωの場合
同様に計算すると、次のようになります。
\(\frac{50\cdot\left(-40\right)}{50+\left(-40\right)}=\frac{-2000}{10}=-200\)
今度は、負性抵抗になるので、発振するのでしょう。きっと。
まとめ
負性抵抗による設計では、負性抵抗の絶対値が終端抵抗値(ここでは50Ω)より小さい場合に発振することになりました。つまり、負性抵抗が-40Ωとかを狙って作れば発振するということです。
でも、ここでは、負性抵抗と終端抵抗が、並列接続するものとして考えました。でも、直列接続されるとなると、当然、50-60<0 ですし、50-40>0 で、結論は変わりますよね?
本当はどちらなのでしょうか?ご存じの方は教えてください。
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