移相型発振器の一巡伝達関数を導きます。
移相型発振器
移相型発振器は、反転増幅器の出力をRCのネットワークで位相を変え、反転増幅器に戻す型の発振器です。
位相は反転増幅器で180°、RCのネットワークで180°変えることにより、合計360°回って正帰還となります。
RCネットワーク1段で変化できる移相量は90°未満なので、2段以下では180°回しきることができません。よって、RCネットワークは3段以上必要です。
ゲインKは、RCネットワークの損失分より大きければ発振が継続します。
RCのネットワークの伝達関数
発振器を解析するには、一巡伝達関数を求めます。
一巡伝達関数は、ループをどこかで切り、1本の帯状にしたときの出力と入力の比です。ループを切らないと、いわゆる無限ループになってしまい、解析することができません。
移相型発振器において、ループを切るところを反転増幅器の出力の地点とすると、RCネットワークと反転増幅器の縦続接続となります。
反転増幅器の伝達関数は、ゲイン倍すればいいだけなので、先ずは、RCネットワークの伝達関数を求めます。
図のように電圧vi、vo、va、vb、i1、i2、i3を定めます。簡単にするため、抵抗値Rと容量値Cはそれぞれ同一の値を用いることととします。
節点方程式を立てると、
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
となります。(4), (5), (6)で分母を消すと、
(7)
(8)
(9)
となります。ここで、(9)を(8)に代入すると、
(10)
(11)
となり、(11)を(7)に代入すると、
(12)
(13)
となり、(9)、(11)、(13)を(1)、(2)、(3)に代入して電流を消すと、
(14)
(15)
(16)
となります。(16)から、
(17)
となり、(15)に代入して、
(18)
(19)
となり、(17)、(19)を(14)に代入して、
(20)
(21)
となります。よって、
(22)
が得られます。
これにゲインKを乗じると、一巡伝達関数Gが、
(23)
として得られます。角周波数ωで表したいのであれば、s=jωを代入して、
(24)
となります。以上がLPF型の場合です。
HPF型の場合は、(23)でRと1/sC、sCと1/Rを入れ替えればよいので、
(25)
となります。角周波数ωで表したいのであれば、
(26)
です。
まとめ
移相型発振器の一巡伝達関数を導きました。
当初、va、vbを使わないで導こうと思いましたが、何度やっても導けませんでした。単純な計算ミスなのでしょうが、未だに原因が分かりません。
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