僕は大学で電気工学を学んでいました。
必修科目に「回路理論」があり、そこで、電圧源はインピーダンスがゼロ、電流源はインピーダンスが無限大だと教わりました。
その時は、「へぇ、そんなもんか」と思っただけで、何の実感もイメージも湧きませんでした。
しかし、実際に回路を設計し始めると、電圧源のインピーダンスがゼロとか、電流源のインピーダンスが無限大ということのイメージができてきます。ありがたみも覚えます。不思議なものです。
本記事では、それを数式で説明します。回路を設計したことがなければ、「へぇ、そんなもんか」という感じでしょう。でも、基礎なので、一度は考察しておいてもいいと思います。
電圧源
電圧源は、どんな負荷(簡単に言えば抵抗)を接続したとしても両端の電圧値が変わらないという電源です。
テブナンの定理を使うと、点線の中に示すように、電源は電圧源EとインピーダンスRSの直列接続で表現できます。(すでに、電圧源はゼロインピーダンスであることを使っていることになりますが、それは、言わないことにしておきます)
このとき、電圧源に負荷として、RL1をつないでも、RL2(≠RL1)をつないでも同じ電圧Vが観測されます。
電圧源は、直流でも交流でもかまいません。
では、式で考えてみます。
まず、負荷としてRL1をつないだ時の電圧は、
となります。次に、RL2をつないだ時の電圧は、
となります。
これらは等しいので、
となり、E≠0なので、両辺をEで割ると、
となります。
ゆえに、RS=0またはRL1=RL2ですが、RL1≠RL2なので、RS=0となります。
つまり電圧源のインピーダンスは0です。
このとき、
でもあります。
電流源
次に電流源を考えます。
電流源は、どんな負荷(簡単に言えば抵抗)を接続したとしても流れ出す(又は流れ込む)電流値が変わらないという電源です。
ノートンの定理を使うと、電源は電流源JとインピーダンスRSの並列接続で表現できます。
(すでに、電流源は無限大のインピーダンスであることを使っていることになりますが、それは、言わないことにしておきます)
このとき、電流源に負荷としてRL1をつないでもRL2 (≠RL1)をつないでも同じ電流Iが観測されます。
電流源は、直流でも交流でもかまいません。
では、式で考えてみます。
まず、負荷としてRL1をつないだ時の電流は、
となります。次にRL2をつないだ時の電流は、
となります。
これらは等しいので、
となり、J≠0なので、両辺をJで割ると、
となります。ここで、RS=0だと外に電流が出てこないので、RS≠0であり、RSで分母分子を割ると、
となります。
ゆえに、1/RS=0またはRL1=RL2ですが、RL1≠RL2なので、1/RS=0すなわち、RS=∞となります。
つまり、電流源のインピーダンスは無限大です。
このとき、
でもあります。
ところで、ひどいじゃないですか。
電流源の解析に、電圧源の解析で使ったテブナンの定理をなぜ使わないんですか?
実はRSを無限大にすると、電圧源のEも無限大にしないと電流が0になってしまうからです。電圧源を無限大にすると、何を解析しているかわからなくなってしまいますので、仕方がありません。
逆に、電圧源を議論する際に、ノートンの定理を使うと、電流源のJを無限大にしないと電圧が0になってしまい、何を解析しているかわからなくなります。
まとめ
電圧源のインピーダンスはゼロ、電流源のインピーダンスは無限大であることを示しました。
実際の回路で、電圧源や電流源を作る方法については別記事で述べたいと思います。
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