技術士第二次試験に合格するコツは法律の分析と活用

ここでは技術士の第二次試験を例にとり、法律の勉強方法とその知識の活用について述べます。

技術士の存在根拠は技術士法である

技術士の第二次試験のうち、筆記試験は非常に難しいです。僕は何度も残念な思いをしました。

しかし、世の中にはマルチホルダーと称して、複数の部門に合格している方々がいらっしゃいます。

そんな方々を羨みながら「もともと他の部門が専門なのに、僕の受験部門にわざわざやってきて、貴重な合格枠を奪っていくのはやめて欲しい」と思ったこともありました。

でも、どうして本来の専門ではない部門でも合格できるのでしょうか?

それは、技術士としての観点は分野を超えて共通であり、マルチホルダの方々はその観点を身につけているからだと思います。逆に、専門的な知識がいくら豊富でも、その観点がない答案は合格レベルに達することが出来ないということです。

ところで、技術士は名称独占資格であって、技術士資格の無い人と技術士が同じ仕事をすることは可能です。

では、技術士と技術士でない人に何か違いがあるのでしょうか?名称だけでしょうか?

技術士の存在根拠は技術士法です。ここに違いが書いてあります。

従って、技術士法を分析・理解して、そこから得られた知識を用いて筆記試験の答案を作成することが合格のコツです。また、技術士法に従うことが技術士の務めです。

ちなみに、僕はこのことを筆記試験合格後の口頭試験の準備中に気がつきました。筆記試験の合否にかかわらず、口頭試験の準備をしておけば、1、2年早くこのコツに気付いたかもしれません。

技術士法の条文と筆記試験に要求される内容の関係

以下、条文とその条文から要求される内容を示します。

 

(目的)

第一条 この法律は、技術士等の資格を定め、その業務の適正を図り、もつて科学技術の向上と国民経済の発展に資することを目的とする。

科学技術の向上」への貢献、又は、「国民経済の発展」への貢献という観点を外すことなく論述せよということになります。

「科学技術の向上」に貢献するのですから、記憶した知識を書くのではなく、問題文を分析し、論理的根拠に基づいて、現状の技術レベルを向上させるような提案をしなければなりません。

「国民経済の発展」に貢献するのですから、単純な1製品のコストダウンにとどまらず、制度改革によって日本の経済を牽引するような広い視点から答案を書いてもよいということです。

 

(定義)
第二条 この法律において「技術士」とは、第三十二条第一項の登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除く。)を行う者をいう。

業務について述べるときは、科学技術に関する「高等の専門的応用能力」を必要とする事項についての「計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務」に関する内容のみが加点対象です。例えば、営業業務や事務作業をいくら書いても加点されないということです。

 

(第二次試験)
第六条 第二次試験は、技術士となるのに必要な技術部門についての専門的学識及び高等の専門的応用能力を有するかどうかを判定することをもつてその目的とする。

そのままズバリのことが書いてあります。「専門的学識」及び「高等の専門的応用能力」を示さないと合格できません。「及び」なので、片方だけでは不十分です。両方示す必要があります。

 

(技術士等の公益確保の責務)
第四十五条の二 技術士又は技術士補は、その業務を行うに当たつては、公共の安全、環境の保全その他の公益を害することのないよう努めなければならない

3義務2責務は誰でも覚えます。

でも、「公益確保の責務」って何ですか?国民が働かなくてもお金が儲かるような仕組みを作れってことですか?

違うんです。「公共の安全」、「環境の保全」ということを最優先に考えなさいということです。これらは、絶対的な公益だと法律が認めているのですから、最低でもどちらか一方、できれば両方の観点から論述すべきです。

問題が与えられたときに、先ず、この2つに関連するキーワードを考えましょう。例えば、OSHMSの構築、爆発・倒壊・感電等の防止、再生可能エネルギ、地球温暖化ガスの削減といった要領です。


これらの観点に今まで注意を払ってこなかった方々は、技術士法を意識して関連キーワードを集めるとよいと思います。それらのキーワードを用いて論文を組み立てると、おそらく別人が書いたような論文になります。少なくとも僕はそうでした。そしてそのような論文を書いたときにはじめてA評価をもらいました。

法令を覚えるためにICレコーダを使おう

口頭試験に向けて、法令の条文を丸暗記しました。
条文等を丸暗記するには、耳から覚えると結構覚えられます。

僕は車通勤ですので、その時間を利用しました。使用機材はソニーのICD-LX30メモリレコーダです。今は、後継機種のICD-LX31 WCが売られています。

本体寸法はどちらも116×28.5×78と比較的大きく、高齢者のおけいこ用に多用されています。しかし、音がクリアで操作が簡単ですので、車との相性は抜群です。

暗記する場合は、覚えたい文を自分の声で吹き込み、シャドーイングしました。

たまには電車にも乗ります。

電車では声を出すことはできませんが、聞くことはできますので、ノイズキャンセリングヘッドホンを使って条文を聞いていました。僕が持っているのは、audio-technicaのATH-ANC1です。周囲の雑音がほとんど消されるため、小さい音でもはっきりと聞き取れます。

技術士口頭試験対策のために丸暗記した条文

技術士の口頭試験対策のために丸暗記した条文を以下に示します。

丸暗記しなくても合格することは可能だと思います。ただ、掘り下げた質問をされた場合、法律に基づいて答えることができます。法律を論破されることはないので、最後の拠り所になります。

  • 第一条(目的)
  • 第二条(定義)第1項
  • 第三十二条(登録)第1項
  • 第四十四条(信用失墜行為の禁止)
  • 第四十五条(技術士等の秘密保持義務)
  • 第四十五条の二(技術士等の公益確保の責務)
  • 第四十六条(技術士の名称表示の場合の義務)
  • 第四十七条の二(技術士の資質向上の責務)

コメント

タイトルとURLをコピーしました