E6系列やE24系列のおはなし

抵抗やコンデンサの値を網羅して準備することはできません。そこで、指数関数的な飛び飛びの値が用いられます。一般的には、値が約1.468倍ずつ増加するE6系列約1.101倍ずつ増加するE24系列が使われます。

プロローグ

電気回路を設計していると、いろいろな値の抵抗や容量が必要になります。
例えば、10Vの電位差があるところに、0.2mAの電流を流したい場合には50kΩの抵抗が必要になります。

しかし、50kΩの抵抗って、売っていないか、47kΩの10倍くらい高価です。困りましたね。

でも、0.2mAという厳密値を必要としないのであれば、その47kΩで、ほとんどの回路は動作することでしょう。

では、47kΩといった切りの悪そうな値の抵抗値が安価なのはなぜでしょうか?それは、少ない種類で広い数値範囲をカバーするためです。

少し回り道してお金で考えてみよう

あなたは、日本語が読めるので、日本の円を使ったことがあることでしょう。
円を使えば、50円の消しゴムを買うのも、20万円のPCを買うこともできます。

1円玉を持っていれば、全ての金額を作ることができるので、1円玉で20万円のPC代金を払いますか?払わないですよね。ではどうしますか?カードを使うなんて答えを期待してはいませんよ。

財布の中には、1円、10円、100円、1,000円、10,000円などを用意しておいて、それらを組み合わせて払いますよね?このとき、これらの金額は、10倍ずつ大きくなっています。すなわち、10nになっているので指数関数的と言えます。このため、なるべく少ないお札の枚数で広い金額をカバーすることができるのです。

ところで、日本円は、100円と1,000円の間に500円という途中の金額があります。5という数字を選んだのは、そろばんの影響ですよね。さらに元をたどれば、指が5本だからだと思います。

ただ、支払うお金の枚数を少なくしたい場合、途中の金額を300円にした方が良かったと思います。例えば900円を払うとき、普通なら500円×1+100円×4で、5枚必要ですが、300円硬貨があれば、300円×3なので3枚で済みます。そりゃそうです。100は、102、1000は103であって、指数関数的中間値は102.5≒316≒300なんですから。有効数字1桁で考えるなら、300円で決まりです。

でも、500もそんなに悪い数ではありません。

10(2+2/3)≒464≒500なので、10(2+1/3)≒215≒200であることを考えると、200円玉を作れば、指数関数的にほぼ等間隔に並ぶのです。900円だって、500円×1+200円×2で、やはり3枚で済むではありませんか。

現在あまり流通していない2,000円札があります。あれは、指数関数的に等間隔という意味では、正しいところに位置していた金額なのです。

この考え方は、オシロスコープのレンジ設定で1V/div、2V/div、5V/divのようにステップが刻まれているところに使われています。また、トリマ(可変抵抗)の系列も、100、200、500のようにステップが刻まれています。

E系列

抵抗値や容量値の話に戻ります。

抵抗とか、容量に関して、すべての値をいちいち揃えることはできません。やはり、指数を等間隔に並べたときの指数関数値を持つ素子を揃えることで、広い範囲をカバーするという戦略を取ります。

1桁の中をほぼ6等分したのがE6系列。ほぼ24等分したのがE24系列です。

Excelを利用して、指数が1/6間隔で並んだ値を有効数字2桁で計算してみましょう。

  • 10(0/6)≒1.000≒1.0
  • 10(1/6)≒1.468≒1.5
  • 10(2/6)≒2.154≒2.2
  • 10(3/6)≒3.162≒3.2
  • 10(4/6)≒4.642≒4.6
  • 10(5/6)≒6.813≒6.8

ところが、実際に使われているE6系列の値は、1.0、1.5、2.2、3.3、4.7、6.8です。3.3と4.7は、小数点以下1桁目が1 digit違っています。

Wikipediaによれば、歴史的な背景があるらしいです。合っていないところは、少し気持ち悪いです。でも、こういうものとして観念するしかありません。言葉に似ています。「僕わ」と発音するのに、「僕は」と書くようなものです。そのうち慣れます。

E24系列の値は、1.0、1.1、1.2、1.3、1.5、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.7、3.0、3.3、3.6、3.9、4.3、4.7、5.1、5.6、6.2、6.8、7.5、8.2、9.1で定義されています。Excelでの計算結果は省略しますが、やはり、2.7、3.0、3.3、3.6、3.9、4.3、4.7、8.2が微妙に合っていません。

他にも、E3、E12、E48、E96、E192が、JIS C60063「抵抗器及びコンデンサの標準数列」に定められています。E24までは、有効数字が2桁ですが、E48系列からは3桁になります。

E6系列を覚えよう

僕は、アナログ回路屋の端くれですが、E6系列しか覚えていません

E6系列を並列接続するか、直列接続すれば、E24系列に近い値をほとんど作ることができます。

だいたい、職場にはE6系列の抵抗しかありません。(コンデンサに至っては、後述のように、E6系列さえ揃っていません)

E24系列ではないのかですって?

自分が抵抗の管理係になったら、E6系列でも多くて嫌になるからだと思います。

なにせ、E6系列であっても、10Ωから1MΩまで揃えると31種類あります。それが、E24系列だと121種類にもなってしまいます。

ちなみに、僕は、MΩを「メグオーム」と読みます。師匠からそう習いました。でも、最近は「メガオーム」と読む人もいるようです。pHだって、昔は「ペーハー」だったのに、今は「ピーエイチ」です。

ところで、高周波の場合、終端抵抗として50Ωが使われます。ところが、E196系列であっても、最も近い値が49.9Ωであって、50Ωではありません。困りましたね。

でも、実際は、50Ωの抵抗は需要が多いため、安価に市販されています。

コンデンサの実情は?

職場でよく見かけるコンデンサの値は、22pF、1000pF、0.01μF、0.1μF、10μF、47μF、100μFといったところでしょうか。ほとんどE1系列みたいなものです。

ちなみに、僕の周りでは、なぜかコンデンサにnFという単位を使いません。

エピローグ

E6系列は覚えていて損はないと思います。E24系列で回路が組みたくなったら、その都度調べれば事足ります。

ところで、冒頭の10Vの電位差があるところに、0.2mAの電流を流す件については、100kΩの抵抗を2本用意して、並列に接続することで50kΩにするという解決法があります。

高周波の50Ω終端も100Ωの2並列でよく作っています。伝送線路の形状によっては、その方がマッチング特性が良い場合もあります。

また、47kΩの抵抗に、5kΩのトリマを付けて、微調整することでも0.2mAを実現することができます。

余談

星は、1等級変わるごとに、明るさが約2.5倍変わるそうです。
なので、1等星と6等星は、明るさが約100倍違うのだそうです。

小学生のとき、この話を聞いて、とても不思議でした。切りのよさそうに見える2.5を5回かけるとなぜ100になるのか?それは本当か?筆算で掛け算をし始めましたが、すぐにめげました。

なるほど、100(1/5)≒2.512であり、たまたま2.5に近い値だったというだけですね。こんな計算を瞬時にしてくれるExcelは偉大だ。

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