アイデアのつくり方 | 書評

この本における著者の執筆個所は9~62ページであり、54ページしかありません。その中に、アイデアのつくり方が凝縮して書かれています。無駄な個所はありません。

原著は1940年にアメリカで出版されました。
インターネット上には、この本に関するレビューが多数あり、どれも大絶賛です。
僕が読んだきっかけも、ある本の中で絶賛されていたからです。


この本では先ず、「大切なことは、原理と方法である」と説いています。

原理は2つあります。

第1の原理は、「アイデアは既存の要素の組み合わせ」です。
第2の原理は、「事物の関連性をみつけ出す才能に大きく依存する」です。

方法は、5段階から成っています。

第1段階は「資料の収集」です。
第2段階は「資料の咀嚼」です。
第3段階は「問題の放棄」です。
第4段階は「アイデアの実際上の誕生」です。
第5段階は「アイデアの具体化と展開」です。

資料の収集では、「特殊資料」と「一般資料」を集めます。
「アイデアは特殊知識と一般的知識の新しい組み合わせから生まれる」からです。


僕がこの本の主張のような考え方を初めて知ったのは、二昔も前に、半導体デバイスで著名な故西澤潤一氏の講演会に参加した時でした。「新たな発見は、異分野同士の境界にある」とおっしゃっていました。
ただ、そんな貴重な話を聞いていても、馬耳東風でした。自分でアイデアを得ようとしていたときは、同一分野のことばかりを頭の中だけで考えていました。この本の要旨によれば、アイデアをつくる効率は非常に悪かったはずです。

本書の内容に対する要望をあえて挙げるとしたら、それぞれの工程に要する時間の目安を書いておいて欲しかったことです。
最も一番知りたいのが、問題を放棄してからアイデアが誕生するまでの時間です。半日なのか、一日なのか、一週間なのか。その目安が分からないと、初回にアイデアが得られるまでの時間は、かなりの不安に襲われることと思います。

ところで、今は便利な時代です。インターネットで検索すれば著者の広告の仕事を見ることができます。

でも、見つけることはなかなか難しいです。
“james webb young ad” と入力して検索すると、NASAの天体望遠鏡に混じりながら、ようやくちらほらと見つかってきます。

Aunt Jemimaというパンケーキミックスの広告や、Odoronoというデオドラント製品の広告を作っていく中で、著者がどのように特殊資料と一般資料を組み合わせたのかを想像してみたら、著者の考え方に少し近づけたような気がしました。

訳者の今井茂雄氏は、この本を訳す前から著者の広告を見て、魅力的であることを知っていました。その広告を解説者に見せていたら、もう少し違った解説が書けたのではないかと思います。


ジェームズ・W・ヤング:アイデアのつくり方、CCCメディアハウス、1988、ISBN978-4-484-88104-1

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