MRI検査体験記

人生で初めてMRI検査を受けたので、その体験記です。
少し前から、手にしびれが出るようになってしまいました。

「しびれ 科」でググると、内科、整形外科、神経内科、脳神経外科などにかかることが推奨されています。脳神経関連は、手遅れになると一番まずそうなので、脳神経外科の門をたたくことにしました。

初診だったのですが、幸い、予約の合間にMRI検査を入れてもらうことができました。

検査室に向かう前から、体の中に金属のボルトやペースメーカが入っていないかを詳しく尋ねられました。歯の詰め物は問題ありませんでした。鉄やニッケルのような磁性体でなければ金属があっても問題ないようです。

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MRI検査

検査の順番が回ってきました。

20分くらいで頭と喉の画像を撮る検査とのことですが、事前にトイレに行かなくてよいか尋ねられました。
検査中に行きたくなる人が多いということなのでしょう。

ちなみに、MRIは、画像の一点を取るのに手間がかかるため、CTより時間がかかる検査らしいです。20分という時間は、MRIとしては短いようです。解像度を落として撮影するのかもしれません。

腕時計を外し、ベルトを外し、金属のモノは、もう身につけてないと思っていたのですが、小型の金属探知機で調べると、ズボンのポケットから反応が!

何だと思いますか?

キャンディが包んであった銀紙でした。ちょっと恥ずかしい思いをしました。

マスクに、鼻の形を作るワイヤらしきものが入っていましたが、それは問題ありませんでした。


部屋に入り、先ずはベットに座ります。
次に靴を脱ぎ、横たわって、頭を固定する容器の中に入れます。
足の下にはクッションが入れられました。仰向けになって、腰を伸ばすと痛みが出る人がいるからかもしれません。寒くはありませんでしたが、膝かけもかけられました。
続いて、「気持ちが悪くなったら、これを握って伝えて下さい」と、小型の風船のようなものを握らされました。
さらに、「頭が動かないように固定させてもらいます」と言われて、頭の両側に緩衝材を入れられました。今から考えると、耳をふさぐ効果も若干はあったかもしれません。
最後に、目の前に透明なカバーを2種類ほどかけられました。コロナ対策だったのかもしれません。

「頭を動かさなければ、手足は動かしてもいいですよ」と言われましたが、なかなかそんなことができる状態ではありません。
目は開けていても閉じていてもかまわないそうです。

そして、検査が始まる直前に、技師さんから、お約束(?)の一言がありました。
「音がうるさい検査です!」


検査が始まりました。

初めは、汽笛のような低い「ソ」の音が10秒くらい続きました。
数秒の無音の後、1オクターブ高い「ソ」の音が10秒くらい続きました。
その次はそれらの中間の高さの「ド」の音でした。
つづいて、「ドッ、ドッ、ドッ、ドッ」といった、機関銃のような連続音。
次は「ド」と「ミ」の和音が聞えます。
設計してハ長調のハーモニーにしたのでしょうか?それともたまたまそうなったのでしょうか?

そのあたりまでは覚えているものの、あまりに種類が多く、覚えきれなくなってしまいました。
「ラ」と「ド」の和音もあったと思いますが、3音の和音は無かったように思います。

うるさいことは確かですが、我慢できないほどの音量ではありませんでした。
検査時間を短くしようとすると音が更に大きくなるらしいです。今まで、多数の人が検査してきて、検査時間と音量との妥協点がこの辺りだったということでしょう。

検査の後半で、口の中に唾が溜まったので、飲み込んでしまいました。
喉の画像を撮っている頃だったので、少し、ブレた像になってしまうかなと思いましたが、何も言われませんでした。

検査の最初と最後に、若干の振動が感じられましたが、それ以外は痛くもなく、眠たくもなりませんでした。
磁気の影響で、どこかが引っ張られるような感じも全くありませんでした。

終了する時は、目の前のカバーを外すことから靴を履くまで、逆の順序でした。


腕時計をはめたり、荷物を持ったりしながら、技士の方に、「いろいろな音がするんですね」と尋ねてみました。頭と首に対してそれぞれ4種の画像を撮り、種類ごとに音が違うことに加え、位置を決める際にも違う音が出るので、何種類にもなったとのことでした。

診断

脳と脊髄に異常所見はありませんでした。
しびれが続くようだったら形成外科に行くように勧められました。
一安心しました。

少しマニアックな話題

MRIの磁束密度は1.5~3[T](テスラ)程度です。地磁気は30,000[nT]程度なので、その約5万倍です。それでも、磁気を感じることはありませんでした。

渡り鳥が方向を鳩が帰巣できるのは、磁気を感じるためだそうですが、MRIの中に入れたらどうなっちゃいますかね。

ところで、MRIの原理って、強い静磁場をかけると水素原子核が静磁場方向を軸として歳差運動を始め、その歳差周波数(ラーモア周波数)と同じ周波数のRFパルスを照射すると、歳差運動の軸方向を変える(ことに加えて揃える?)ことができて、RFパルスの照射を止めると軸方向が静磁場方向に戻っていき(=緩和され)、その緩和に要する時間が組織によって異なることを利用して、組織を映像化できるということで良いのでしょうか?

映像化する時は、多次元のフーリエ変換が必要らしいです。こういう装置を設計する仕事も面白そうですが、要素技術としては既に確立されてしまっているのかな?

MRIの原理を、調べている過程でこんなことも学びました。
鉄は通常は体面立方格子で、フェライトと呼ばれ、磁性を有します。ところが、混ぜモノをして作られた一部のステンレスは、面心立方格子になり、オーステナイトと呼ばれ、非磁性体になるらしいです。ステンレスが磁石に付かないことが、長い間、疑問に思っていたので、氷解しました。

オーステナイトステンレス鋼はMRI室に持って入れるのでしょうか?強い磁場によって、結晶構造がもし、変わってしまうとしたら危険だな。

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