北半球の台風は、反時計回りに渦を巻きます。
この理由は、普通、コリオリの力によると説明されます。
それって本当?地球の自転が関係することは認めるけど、コリオリの力とは別のメカニズムなのではないですか?
コリオリの力
コリオリの力は、一般的に次ように説明されます。
反時計回りに回る円盤上のある一点(図では下)から中心に向かってボールを投げると、円盤上にいる人には、そのボールが右に曲がりながら飛ぶように見えます。
この理由は以下の通りです。
ボールを円盤の外から見ると、回転座標系から解放されて、●印のように、等速直線運動をします。
一方、投げた人は×印のように回転しながら移動します。
次に、円盤上の人からボールを相対的に見ると、最初と最後は自分と円盤の中心とボールが一直線上にありますが、途中の場合は、ボールが相対的に左側に位置するため、右に曲がって運動するように見えます。
(ちなみに、中心に向かって正直にボールを投げると、円盤外から見たとき、回転の接線方向の慣性によって右前の方に行ってしまいます。ボールは、中心方向の速度ベクトルと、回転方向の速度の逆向きのベクトルの合成方向に投げるか、円盤外から投げてもらわないと、うまく実験できません)
台風の場合
台風の場合、(見ることはできませんが)地上から見ても、気象衛星から見ても、渦を巻いていませんか?
台風がコリオリの力によるものだとすると、地上から見たときに渦を巻くのはまだ良いですよ。でも、地球外の気象衛星から見たら、台風の雲は渦を巻かずに、台風の目に向かって一直線に向かうべきではないですか?だって、上述の説明では、ボールは回転座標系の運動から解放されて、円盤外から見たら等速直線運動しています。
気象衛星が地球の自転と一緒に動いているって細かいことを言うのなら、「はやぶさ」や太陽から見たと思考実験することにしましょう。おそらくそれでも台風は渦を巻いて見えますよね?
じゃぁどう説明するか?
空気には粘性があります。
つまり、空気は地面にくっついて、地球の自転とほぼ一緒に動いています。解放されてなんかいません。
じゃないと、東京付近では秒速375m(=40000000×cos36°/24/60/60)くらいの突風が吹き荒れます。台風の10倍以上の速度で、とても外を歩くことなんてできません。
円盤の中心に台風の目があるとすると、円盤上の雲は、台風の目に向かって引き寄せられます。
雲が中央に少し引きせられる間に、円盤は反時計回りに回ります。雲も円盤につれて反時計回りに少し回ります。
雲が更に中央に引き寄せられる間に、円盤は更に反時計回りに回ります。雲も当然円盤につれて反時計回りに更に少し回ります。
これをプロットすると、ほら、台風のように反時計回りに渦ができるじゃないですか。
まとめ
ここで述べた理屈が必ずしも正しいとは思っていません。でも、北半球で、運動する物体は右に曲がる力を受けるはずなのに、雲が台風に向かって左に曲がりながら渦を巻くことにどうしても納得がいかないのです。科学は疑うことから始まります。
今後暇な時に考えたいこと
円盤上において、コリオリの力による軌跡は円(つまり等角写像?)なのでしょうか?(直感的には等角写像)
普通の低気圧が渦を作らないように見えるのに、台風くらいになると渦を巻くのはなぜなのでしょうか?(一種の相転移でしょうか?)
台風の渦と銀河の巻き方には関連性があるのでしょうか?つまり、もっと大きな回転体の表面に銀河が乗っているという仮説が成り立つのでしょうか?(ちょっとポアンカレ的発想)
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